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電波に続きアンテナ鉄塔の規制を検討するサンフランシスコ市

2010.08.18

Updated by WirelessWire News編集部 on August 18, 2010, 11:30 am JST

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(cc) Image by Ethan Bloch

サンフランシスコのように人口密度が高く、建物が密集している都市では、携帯電話の基地局の設置が難しい。ダウンタウンのビル街であればビルの屋上に設置できるが、ビクトリア調の二階から三階建ての美しい住居が軒を並べている地域などでは、ただでさえ鉄塔を立てる場所を探すのが難しい。サンフランシスコ市は、携帯事業者にさらなるハードルを課すつもりのようだ。

新たなハードルとは「景観」である。サンフランシスコ市が検討している条例案には、景観を悪くする鉄塔(タワー)や鉄柱(ポール)の新設を市が拒否できるという項目が含まれている。現状、サンフランシスコ市内のアンテナ柱の高さは平均77フィート(約23.47メートル)で、建設済みと建設計画中のアンテナ柱はT-Mobileで336本、AT&Tが186本、Verizonが125本、Sprintが112本で、Clearwireが76本となっている。

そもそも連邦法では、健康に関する基準を満たしている限り、携帯事業者からの施設設置の申請をサンフランシスコ市を含む地方自治体が拒むことはできないが、携帯事業者側が新たな設備の必要性を説明できない場合や、新たな設備が「視覚的なインパクト」がある場合には拒否できる。今回の条例は後者を根拠に提案されているようだ。ちなみに日本でも、三重県や北海道上川郡美瑛町などで景観保護の観点から携帯基地局設置のガイドラインが定められている。

条例案ではアンテナだけの目的の鉄柱の新設は禁じられ、大きなサイズのものについてはアンテナを隠すために周囲に植樹が義務づけられるほか、近隣住民はアンテナ設置に異議を唱えて公聴会を開かせる権利を持つことになる。しかし、これらの規制が適用されるのは公有地のみで、私有地には所有者の判断で鉄塔を建てることができる。今後は私有地利用が増えるとの見方もあるようだ。いずれにせよ、携帯事業者にとってはいろいろと面倒な条例となりそうだ。

サンフランシスコ市はアンテナ設置が難しい場所で、先月行われたアップル(Apple)社のプレス・カンファレンスでもCEOのSteve Jobs氏は、iPhone4のアンテナ問題に関連して、「テキサスでAT&Tがセルラーの鉄塔を1基追加しようとしたら、承認を得るのに3週間かかる。AT&Tがサンフランシスコで1基追加したい場合には3年かかる」「いくつかの都市では、これがAT&Tの電波受信についての問題点だ」と述べている。

利用者は携帯電話を使うに当たって、広くて、カバレッジホールやデッドスポット(いずれも携帯電話などの電波が届かないエリア)のないカバレッジを望みつつ、景観や電磁波の健康への影響などへの関心も高まっているようだ。

SF cell phone antennas face static (San Flancisco Examiner)
Proposed SF ordinance would place new restrictions on cell phone antennas (CNET.com)
サンフランシスコで携帯電話機の電磁波量の表示義務付けへ
Live Blogging Apple's iPhone Press Conference: Free Cases for All (WSJ.com)
携帯電話基地局の設置に関する景観形成ガイドライン [PDF]) (三重県)
単独の携帯電話基地局は認めず 景観保護で北海道美瑛町 (47NEWS)

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