インドのBSNL、WiMAXからLTEへの移行の可能性もありか
2010.09.09
Updated by WirelessWire News編集部 on September 9, 2010, 11:30 am JST
2010.09.09
Updated by WirelessWire News編集部 on September 9, 2010, 11:30 am JST
インド政府が100%所有するインド最大の通信事業者BSNL(Bharat Sanchar Nigam Limited)は携帯電話(GSM)事業者としてはシェア3位で、ワイヤレス・ブロードバンド・サービスにはWiMAXを使うことを表明してきた。しかし、国内の他のオペレータがすべてLTE採用に動いた場合に備えて、自らもLTE対応できるようなバックアップ・プランを持つことを決めたようだ。
インドはWiMAX陣営が大きな期待を寄せていた国で、2008年にはWiMAXフォーラムが2012年にインドのWiMAX加入者が2,750万人を超え、世界全体の20%に達するという予測を発表している。新興国などでは固定系のブロードバンドサービスや、場合によっては基本的な通信サービスのインフラストラクチャーが欠乏しており、このことがWiMAXの促進に有利とされてきた。
インドのBSNLは、米ソーマ(SOMA Networks)と提携して、2009年2月にはグジャラート州(Gujarat)でWiMAXサービスを開始している(ソーマと言えば、2002年にNTTコミュニケーションズが金沢での実験で採用したW-CDMAベースの無線システムの開発会社だ)。
さらに今月6日には、BSNLは中国のZTE(中興通迅)からWiMAX関連機器を調達する30億ルピー(1ルピー=1.81円換算で約54億3,000万円)の契約を締結したばかり。ZTEは、WiMAXの基地局、交換機、端末、ハンドセットなどを納入するが、一部は現地のZTE Indiaのマネサル(Masesar)工場で製造するようだ。スパイウェアが組み込まれている疑念から中国の通信機器の輸入を禁止していたインドだが、最近ではファーウエイ・テクノロジーズ(華為技術)がタタ(Tata Teleservices)に3Gネットワーク機器を納める契約をしていて、インドにおける中国ベンダーの躍進が目立っている。
そんな中、BSNLは自社のブロードバンド・サービスを再販するフランチャイズ契約を4社(Teracom、Take Solutions、Adishwar India、Ampoules)と結び、年間売上のおよそ10から32%をBSNLに渡すレベニューシェアの枠組みを整理した。この契約の中に、「インドにおいてLTEが優勢になったらWiMAXからLTEに移行する」という条文が入っているとBSNL幹部が語ったとのことだ。「あるプラットフォームを採用している会社が1社だけになったら、ローミングや相互接続性の観点から孤立することになる。複数のキャリアがWiMAXを採用ということなら話は別だ」と同幹部は述べたとのこと。
BSNLは、同じく国営のMTNL(Mahanagar Telephone Nigam Limited)と並び、今年6月のオークションでは私企業に先立って2.5GHz帯の20MHzスロットを予め割り当てられていたのだが、この周波数帯はインド軍部から軍用の衛星通信(MSS(Mobile Satellite Service))との干渉が問題視されている。インドの宇宙局(Department of Space)もBWA(ブロードバンド・ワイヤレス・アクセス)に2.5GHzを利用することに異議を唱えているとのこと。
【参照情報】
・India WiMAX operator has LTE plan B (Rethink Wireless)
・WiMax-focused BSNL plans LTE tech back-up (The Economic Times)
・BSNL Launches India's First High-speed Wireless Broadband Network in Gujarat (SOMA Networks プレスリリース)
・ZTE bags Rs 300-cr BSNL contract (The Economic Times)
・Huawei Reported to Have Won Indian 3G Network Contract (cellular-news)
・インドのWiMAX加入者は世界全体の20%へ(WiMAXフォーラム)
・大和証券、BSNLと提携するソーマ・ネットワークスに出資(インド新聞)
・広域無線ブロードバンド接続方式の実証実験「WINQプロジェクト」の実施について(NTTコミュニケーションズ)
・世界情報通信事情(総務省)
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