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豪法廷、アップルの要請を却下 - 「Galaxy Tab」販売仮差し止めの適用範囲拡大はならず

2011.10.17

Updated by WirelessWire News編集部 on October 17, 2011, 13:05 pm JST

アップルとサムスンとがシドニー(オーストラリア)で係争中の「Galaxy Tab 10.1」をめぐる訴訟で現地時間14日、前日に出された同製品の販売仮差し止め命令の適用範囲拡大などを求めるアップル側の訴えが判事によって退けられた。

この日に行われた審理のなかで、同訴訟を担当するアナベル・ベネット(Annabelle Bennett)判事は、前日の判定の内容に修正を加えることを求めたアップルの要請を却下した。アップルは、サムスンに対して今後新製品をリリースする際には事前に告知すること、ならびにサムスンが新しいタブレット端末を豪市場に投入できないようにすることを求めていたという。同判事はアップルのこの要請について、販売仮差し止めの適用範囲を「あらゆるタブレット端末」に拡大することは「本件の主題の範囲を超える」ものと述べたとWSJは記している。

この訴訟では、Galaxy Tab 10.1に採用されているタッチスクリーン関連の技術が、アップルの保有する特許権を侵害しているかどうかが争点となっていた。当該の2件の特許については、カバーする範囲が「とても広い」ため、グーグルやAndroid端末メーカーにとっては(侵害を)回避するのが難しく、もし別の方法を見つけられたとしても、それを採用した製品は消費者にとって魅力のないものとなってしまうとの懸念も浮上していた。

この日の判断の結果、アップルは、サムスンが豪市場に投入するタブレットの新製品になおも特許侵害がみられると判断した場合、その都度訴訟を起こす必要があることになった。

なお、WSJでは、消費者向けの電子機器は現在12-18ヶ月でモデルチェンジが行われていることを踏まえ、前日出された判定により、サムスンが「Galaxy Tab 10.1」を「賞味期限」内に豪市場に投入できる可能性が失われたと指摘している。

また、技術関連特許分野の専門家であるフローリアン・ミューラー氏(Florian Mueller)氏は自らのFOSS Patentsで、今回の訴訟について、アップルが早急な解決を望んで仮差し止めの訴えを求めていた点を踏まえ、2012年3月以降に予定される最終審理の結果次第では、仮差し止めが恒久的なものに変わる可能性もあると指摘。さらに、争点とされているマルチタッチ操作の特許について、サムスンのタブレット製品だけに権利侵害が該当するものではないとして、少なくとも豪ではサムスン、HTC、モトローラ(Motolora Mobility)などのAndroid搭載端末全体にも適用される可能性があると記している。

【参照情報】
Australia Court Rejects Apple Push to Widen Samsung Ban - WSJ
Apple fails in new Samsung court bid - Sydney Morning Herald
Australian injunction could be extended to other Samsung products, HTC, Motorola -- and beyond -
豪法廷「Galaxy Tab 10.1」販売差し止め判定の影響について(編集担当メモ)
「S・ジョブズ氏自らがサムスンとの衝突回避に動いていた」 - 豪法廷で明らかに

アップル対サムスンの特許訴訟 - 豪ではタッチスクリーン関連技術が争点に

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