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スプリント、第3四半期決算発表 - iPhone関連の負担は「4年間で155億ドル以上」に

2011.10.27

Updated by WirelessWire News編集部 on October 27, 2011, 12:16 pm JST

スプリント・ネクステル(Sprint Nextel:以下、スプリント)は米国時間26日に行った第3四半期決済発表のなかで、今月から取り扱いを開始したアップル(Apple)「iPhone」関連の費用について、今後4年間で155億ドル以上になることを明らかにした。また、すでに計画を発表しているLTEネットワークへのアップグレードに要する費用についても50億ドルに上るとし、あわせて70億ドル程度の資金を調達する必要が明らかになったことから、同社の株価は決算発表後に一時7%下落している。

同期の売上は83億3000万ドル(前年同期比2.2%増)でアナリスト予想の83億8000万ドル(Bloomberg集計)をわずかに下回った。また営業経費が81億3000万ドル(同2.9%減)に下がった結果、赤字幅は前年同期の9億1100万ドルから3億100万ドル(1株あたり10セント)へと縮小し、アナリスト予想の22セントよりも少なかった。

長期契約(ポストペイド)の加入者の流出が続くスプリントだが、同期にはこの減少数が4万4000件と前年同期の10万7000件から大きく改善。ただし、アナリスト予想の平均値である4300件減には届かなかった。またARPUは58ドルで前年同期から3ドルの上昇。いっぽうプリペイド・ユーザーの新規契約数は48万5000件となったという。

Wall Street Journal(WSJ)によると、スプリントは今回の決算発表で、iPhoneを扱っていなかった第3四半期にも新規契約者数が130万件増となった点を強調。さらに今期については、iPhone効果による契約者増加が期待できることに加え、iPhoneユーザーは「スプリントにとって最も多くの利益を生む顧客となるだろう」と説明したという。

同社はiPhone取り扱いから得られる利益について、最大80億ドルを見込んでいるとしたが、いっぽう仕入れコストも他社製端末より40%(端末1台あたり200ドル)程度高い計算となるため、155億ドルのコストを回収し、利益を出せるようになるのは2015年以降になるとWSJは指摘している。

スプリントは、iPhoneの取り扱いで先行するベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)およびAT&Tに後れをとり、16期連続で赤字を計上していた。同社はiPhoneの取り扱いに関し、今後4年間で計3050万台以上の購入をアップルに対して確約したと報じられていたが、その際には想定されるコストなどについての情報開示がなされず、投資家らから批判の声が上がっていた。

また同社は現在198億ドルの負債を抱えており、そのうち半分以上は5年以内に返済期限を迎える。格付け機関のムーディーズ(Moody's Investors Service)は今月に入って、スプリントの格付けをB1に引き下げていた。今回の発表のなかでは、同社の手元流動性(現金ならびに短期証券)が約40億ドルであることが明らかにされたが、みずほ証券(米)アナリストのマイケル・ネルソン(Michael Nelson)氏はBloombergに対し、「戦略実行の点でも資金面でも、リスクは極めて高い」と述べている。

【参照情報】
Sprint Reveals iPhone Details - WSJ
Sprint Says It Needs to Raise Up to $7 Billion in Capital as Loss Narrows - Bloomberg
Sprint Posts Loss, But Adds New Customers Ahead of Landing iPhone - AllThingsD
スプリントのiPhone取り扱いは、ほんとうに「リスキーな賭け」か - Asymco
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iPhone 3000万台超購入を確約 - スプリントが200億ドルを賭けた一発逆転の大勝負(WSJ報道)

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