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アップルのティム・クックCEO、中国の李副首相と会談

2012.03.29

Updated by WirelessWire News編集部 on March 29, 2012, 12:33 pm JST

今週はじめに中国を訪れていることが伝えられていたアップル(Apple)のティム・クック(Tim Cook)CEOが、現地時間27日に李克強副首相と会談していたことが明らかになった。

この話題を採り上げたBloomberg記事によると、李氏は来年3月に予定される中国共産党指導層の世代交代で、新首相就任が見込まれる最有力候補だという。中国政府要人の住まいなどがある北京の中南海で行われたこの会談について、アップルの広報担当者はBloombergとの電話で「素晴らしい会談となった」と述べたという。

会談の具体的な中味については、中国における知的財産(IP)の保護強化や、経済の発展、内需の拡大、技術開発の振興に向けた協力、アップルの外注先であるフォクスコン(Foxconn)中国工場における労働環境の問題など、さまざまな話が議題に上ったと、新華社通信(英語版)やWSJは記している。

中国はすでに世界最大のPC市場であり、スマートフォン市場としても今年米国を抜いて第1位になると予想されていることから、アップルにとっては重要な市場であり、かつ生産拠点ともなっている。同社が昨年以来、今後もっとも成長が期待できる市場として、対中国市場への取り組みに力を入れてきていることは既報の通り。

また、知的財産をめぐっては、「iPad」の商標権をめぐる争いがアップルとプロビュー・テクノロジー(Proview Technology:以下、プロビュー)との間で続けられている。Bloombergでは、「クック氏は『政治的PR活動』をしている」という、プロビュー側債権者のコメントが紹介されている。

いっぽうWSJでは、李氏が中国内陸部の経済発展に関し、多国籍企業にいっそうの協力を求めたと記している。中国では広東省などこれまで経済発展をリードしてきた沿海部で人件費が上昇しており、より安価な労働力を求めて内陸部に製造拠点を移すといった企業側の動きも進んでいるが、経済成長の減速や貧富の格差拡大などの問題が取り沙汰されるなかで、これらの是正に関連して、中央政府がアップルに協力を要請した、という点は注目される。

【参照情報】
Apple CEO Meets Vice Premier Who May Be Next China Leader - Businessweek
Apple Bolsters Ties With China's Leadership - WSJ
Vice Premier Li Keqiang meets Apple's Tim Cook - Xinhua
アップルのクックCEOが中国に - 訪問の目的をめぐって飛び交う憶測
中国での「iPad」商標権問題 - 大手銀行も介入で、泥沼化の様相

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