メディア業界の大物バリー・ディラーが企む「米テレビ業界の秩序破壊」
2012.05.28
Updated by WirelessWire News編集部 on May 28, 2012, 11:17 am JST
2012.05.28
Updated by WirelessWire News編集部 on May 28, 2012, 11:17 am JST
インターネット経由でテレビ番組を携帯端末などに転送(ストリーミング配信)するエレオというベンチャー企業のサービスをめぐって、米テレビ業界で騒動が巻き起こっている。
エレオは、かつてパラマウントピクチャーズ(Paramount Pictures)やフォックス(Fox)、QVC(ケーブルTVのショッピングチャネル)を率い、現在はエクスペディア(Expedia)会長やMatch.comを傘下に収めるIAC/InterActiveの会長を務めるバリー・ディラー(Barry Diller)氏が支援するベンチャー企業で、月額12ドルを支払うユーザーに対し、パソコンやiPhone、iPadなどのモバイル端末でも地上波の番組を観られるように、ウェブ経由でストリーミング配信するというサービスを今年3月に開始。なお現在、サービス提供地域はニューヨーク市に限られているが、同社では今年中に100以上の都市に広げる可能性を示唆しているという。
このエレオのサービスに対しては、さっそくABC、CBS、NBC、PBSなどの米大手テレビ局各社から物言いがつき、エレオを相手取った訴訟が起こされている。テレビ局各社の側では自分たちの同意も得ずに、エレオがテレビ番組を有料で再配信していることが著作権の侵害にあたると主張。それに対して、エレオ側では「ユーザーに代わって受信した番組を転送しているだけ」「料金は受信用に貸し出した小型アンテナに対するもの」とし、自社のサービスは法律で合法とされている「ビデオ録画機と同等のもの」と反論しているという。
エレオを支援するディラー氏は、WSJに対し、「なにかを壊さなくては、新しいものを創り出すことなどできない」「メディア企業各社は、自分たちでコントロールすることに、あまりにも馴れすぎている」などとコメント。それに対して、CBSのレス・ムーンヴィ(Les Moonves)CEOは、「われわれの電波を奪うことは誰にもできない」とコメント。また他のテレビ局幹部も「(ディラー氏は)テレビ番組を盗んでいる」と応酬している。
サービス停止を求めるテレビ局各社の訴えは、来週中にも米連邦裁判所で審理が行われ、その後判決が下されると見られている。
なお、ケーブルテレビ大手のケーブルヴィジョン(Cablevision)がオンライン上の設けたリモートストレージに契約者が番組を録りだめておけるようにして、大手テレビ局から訴えられていた裁判では、結局ケーブルヴィジョン側の勝訴が言い渡されていた。
【参照情報】
・High Noon for Diller's Aereo - WSJ
・Diller-backed Aereo countersues Fox, PBS - Reuters
・Broadcasters Sue To Stop $12 Streaming Service Aereo - paidContents
・Hollywood Reporter">TV Broadcasters Warn of Huge Industry Shakeup If Barry Diller's Aereo Isn't Stopped - Hollywood Reporter
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