「モバイル決済はもはやコモディティ」 - 米ベンチャー、決済手数料無料で活路
2012.07.13
Updated by WirelessWire News編集部 on July 13, 2012, 13:22 pm JST
2012.07.13
Updated by WirelessWire News編集部 on July 13, 2012, 13:22 pm JST
米国のボストンに拠点を置くレベルアップ(LevelUp)というベンチャー企業が、モバイル決済とオンラインクーポンを組み合わせたサービスで、大手各社がしのぎを削るこの市場に食い込もうとしている。
今後大きな成長が期待される米のモバイル決済市場では、スクエア(Square)、ペイパル(PayPal)、グーグル(Google)、大手携帯通信事業者らのJV「Isis」といった各社がすでにサービスを提供、もしくは提供の準備を進めている。いっぽう、オンラインクーポンの市場にもグルーポン(Groupon)、リビングソーシャル(Living Sorcial)などの大手が存在している。
レベルアップはモバイル決済サービスのほか、クーポン発行プラットフォームやアクセス解析サービスを提供するベンチャーだが、このほど同社のモバイル決済サービスに関する手数料を無料にすると発表した。
同社はこれまでも値段の安さで勝負してきていた。具体的には、競合他社の3%より安い2%の手数料で決済サービスを提供しながら、各店舗が顧客にクーポンや割引を提供するための決済プラットフォームを用意し、割引額1ドル分につき35セントの手数料を店舗から受け取るビジネスを展開。これにより、たとえば契約する小売店舗が「LevelUpを通じて買い物をすれば、購入額100ドルにつき10ドルの値引き」というキャンペーンを実施した場合、LevelUpは値引き額に応じた手数料を受け取っている。
今回の決済手数料無料化により、同社サービスを利用する小売店舗では一か月あたり500ドル程度の決済費用を節約できることになるという。
同社では、電子決済サービス自体がコモディティ化しつつあることを踏まえ、「新規顧客獲得の支援や、そのトラッキング手段を提供することこそが付加価値」と考えて、手数料無料化に踏み切ったという。
WSJによると、米国ではクレジットカード取り扱いに関わる手数料が、小売業者にとって家賃、人件費につづく大きな経費項目となっており、この重い負担が小売業者の利益を圧迫していることから、いまのところカード会社から禁じられている買い物客への転嫁(サーチャージ請求)に関する議論も表面化しつつあるという。
【参照情報】
・LevelUp's Plan to Supercharge the Mobile Payments Market: Make It Free - ATD
・LevelUp declares payment war, kills interchange fee for merchants - GigaOM
・LevelUp Will End Your Business' Credit Card Processing Fees. Really. - Fast Company
・Bank Fees Squeeze Retailers - WSJ
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