オーストラリアの研究者が、運転者の脳波から集中力の低下などをリアルタイムに分析して自動車のアクセルとブレーキを運転者の動きを抑えて制御する「アテンション・パワード・カー」を試作した。
運転者は神経工学を応用した製品を開発しているEmotive社のEPOCというヘッドセットを装着する。これには脳の各部位の活動を測るセンサーやジャイロスコープが仕込まれている。試験フェーズではテストドライバーがこのヘッドセットを着けて、運転中にラジオのスイッチを入れたり携帯電話を操作したり地図を見たりといった、運転操作を妨げる行動を取るよう指示し、その際の脳の活動を調べた。また、時速15キロで長時間走行することを強いて、運転者が退屈さに負けて意識を失う際のパターンも調べたという。
テストはヒュンダイのi40を改造した自動車を使ってパースで行われた。ヘッドセットは脳の各部位の脳波のほかに目の動き、瞬きの間隔、頭の動きなどもモニターして運転者の注意力の低下を総合的に判断する。注意力が下がったり、睡魔に襲われたりしていると判断するとアクセルを踏んでも加速できない。注意力が戻れば、運転者の操作通りに加速も減速も可能になる。
実験を行ったRAC(Royal Automobile Club of Western Australia)は、商用化については未定で、現在は研究段階ながら、一般の注意喚起の意味もあって公表したようだ。信号や障害物の画像を分析して制動をかける自動車はすでに市販されており、こうした技術と組み合わせれば、運転がさらに安全になっていくのかもしれない。
【参照情報】
・Attention Powered Carのウェブページ
・Australian researchers unveil 'attention powered car'
・Attention-powered car tested in Perth
・'Attention Powered Car' won't drive unless you're concentrating
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