米CATV業界で大規模再編の兆し - コムキャスト、チャーターがタイムワーナーケーブル買収を検討
2013.11.25
Updated by WirelessWire News編集部 on November 25, 2013, 10:03 am JST
2013.11.25
Updated by WirelessWire News編集部 on November 25, 2013, 10:03 am JST
米ケーブルテレビ業界2位のタイム・ワーナー・ケーブル(Time Warner Cable:以下、TWC)の買収を、競合するコムキャスト(Comcast)やチャーター・コミュニケーションズ(Charter Communications:以下、チャーター)がそれぞれ検討しているとする話が複数の媒体で報じられている。
TWCは加入世帯数約1100万で、コムキャスト(約2200万世帯)やディレクTV(約1900万世帯)に次ぐ規模をもつ有料テレビ事業者。現在の評価額は約380億ドルで、Bloomberg記事には同社の事業価値を610億ドルとする見方もある。
WSJではこの動きについて、もともとチャーターと同社の筆頭株主であるリバティメディア(Liberty Media)がTWCの買収を検討していたが、チャーターによる買収を回避したいタイムワーナーがコムキャストに接近し、同社との協力の道を模索しているとする関係者の話を紹介。ただし、コムキャスト側はチャーターとも協議を行っており、同社と共同でタイムワーナーを買収した後、事業を分割する可能性も浮上しているという。
WSJでは、コムキャスト単独でのTWC買収が独禁法違反となる可能性を指摘する業界関係者の話や、ケーブル事業者は展開する地域によっては直接競合しないため、条件次第では買収が認められる可能性もあるとする別の専門家の見方を紹介。ただし後者の場合も、コムキャストは買収後にコンテンツプロバイダー(テレビ局など)に対して大きな影響力を持つと考えられ、その点が規制当局などから問題視される可能性は残るという。
いっぽう、2社による共同買収の可能性に触れたBloombergは、コムキャストとチャーターが手を組んだほうが買収額を少なく押さえられ、同時に独禁法関連の問題回避も容易になるとする関係者の話が紹介されている。またTWCの事業について、チャーターがロサンゼルスやノースカロライナの市場、そしてコムキャストがニューヨークやダラスの市場など、それぞれが現在事業を展開している地域と近い市場の事業を手に入れることで、より効果的な広告商品を提供できる可能性などのメリットも指摘されている。
AllThingsDによると、コムキャストが単独でTWCを買収した場合、加入者数は合計で3300万世帯(全米の約3分の1)となるいっぽう、チャーターとTWCとの組み合わせでは約1500万世帯になるという。また同媒体では、こうした動きの背景にある大きな要因として、スポーツ中継を中心にテレビ番組の放映権が値上がりを続けるなかで、コンテンツプロバイダーに対するケーブル事業者や衛星テレビ事業者の立場が弱まっていることを挙げ、実際にリバティメディア創業者のジョン・マローン(John Malone)氏が以前から業界再編による交渉力増大の必要性を主張していたとしている。さらに、有料テレビ業界での再編が進んでも、それによって得られるメリットの一部が消費者に還元されることはほ考えにくいとする見方も示している。
GigaOMでは、ネットフリックス(Netflix)などの動画配信サービスの影響力が増大するなか、ケーブル事業者各社にとってより重要な競合相手は同じ地域で事業を展開する電話会社(のブロードバンドサービス)と指摘。さらに、ブロードバンド・サービスの料金について、TWCが使い放題としているいっぽう、コムキャストやチャーターがデータの容量制限(いわゆる「cap」)を設けていることから、TWCの売却が成立した場合は使い放題のブロードバンドサービスが市場から姿を消す可能性も高まる、などとしている。
【参照情報】
・Rivals Circle Time Warner Cable for Possible Takeover - WSJ
・Comcast, Charter Said to Weigh Time Warner Cable Breakup - Bloomberg
・One Way or Another, Big TV Is Getting Bigger. Will You Care? - AllThingsD
・Cable consolidation isn't about TV: It's about broadband - GigaOM
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