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ミラノの公共交通機関でSMS 発券システム:誰でも簡単に発券して乗車

Fast, Easy, User-Friendly!

2015.07.30

Updated by Hitoshi Sato on July 30, 2015, 18:26 pm JST

ジェムアルトは2015年6月、ミラノの公共交通機関を運営する ATM(ミラノ交通公社)と協業し、ジェムアルトの子会社であるネットサイズ社の SMS(ショートメッセージ)発券ソリューションを展開した。

通勤者は携帯電話だけで乗車券を購入でき、交通機関を利用できるようになる。年間に約 7 億人の乗客が ATM の交通機関を利用しており、その全乗客は、あらゆる種類の携帯電話から 24 時間 365 日、効率的にチケットを購入することができる。本サービスは、イタリアの大手移動体通信事業者 4 社のユーザー向けに提供されている。

ミラノはイタリア第 2 の都市である。ミラノの通勤客だけでなく旅行者も、紙幣や硬貨を探す煩わしさがなく、SMS でテキストを送信するだけで、乗車券を購入することができる。運賃は、ネットサイズ社のシステムにより、ユーザーの携帯電話料金と一緒に直接請求される。SMS で届いた電子乗車券コードをバス運転手に提示したり、自動券売機に入力して地下鉄の乗車券を入手したりすることができる。

SMS 発券システムの導入は、現在ミラノで開催されている国際博覧会に先立ち、開始された。ATM では、5ヶ月以上で約 2,000 万人がミラノを訪れると予測しており、SMS 発券を利用することにより、本イベントへのアクセスが楽に行われるようになる。

ATM の最高情報責任者(CIO)を務める Roberto Andreoli氏は、次のように述べている。「顧客は簡単でアクセスしやすい SMS 発券を気に入っています。これにより、焦って小銭を探そうとする必要がなくなります。本サービスはミラノのモバイル発券における第 3 段階となり、今後 QR コードの導入により、SMS 発券システム経由で乗車券を購入した後、直接地下鉄へのアクセスも可能になります。」

ジェムアルトでネットサイズ事業担当上席副社長を務める Benoit Bole 氏は、次のようにコメントした。「SMS 発券は、旅行客には乗車のしやすさ、そして交通機関には優れた効率性をもたらします。既にイタリアの公共交通機関18 社が SMS 発券ソリューションを利用しており、当社では比類なき知識と経験を提供します。」

誰でも使えるSMSの利便性は高い

早くから携帯電話でメールが利用できた日本ではSMS(ショートメッセージ)はあまり馴染みがないサービスだが、海外では今でも携帯電話でのメッセージのやり取りの主流はSMSである。

どのような携帯電話端末でも、スマートフォンであれ、SMSは利用が可能であり、シンプルで誰でも利用できる。イタリアでも人気のWhatsAppのようなメッセンジャーアプリと違って携帯電話番号と紐づけられているので、今回の発券サービスのように携帯電話料金と一緒に直接請求されることが可能なので、利便性が高くセキュリティも安心である。今回のミラノでの発券サービスもイタリアの主要通信事業者4社のユーザーが利用できる。つまりイタリア人であればほとんど誰もがこのSMSによる発券サービスを利用できる。

メッセンジャーアプリの台頭によって、通話やテキスト送受信といったコミュニケーションのプラットフォームは「SMSからメッセンジャーアプリへ移行」しようとしている。それでもまだSMSの特徴を活かしたサービスは今後も多数登場するのではないだろうか。

▼ミラノでのSMS発券サービス(出典:ジェムアルト)
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【参照情報】
Gemalto provides SMS ticketing to Milan public transport

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。

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