画像はイメージです original image: © absurdovruslan - Fotolia.com
アルティス、米ケーブルビジョンを177億ドルで買収へ
2015.09.17
Updated by WirelessWire News編集部 on September 17, 2015, 10:43 am JST
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2015.09.17
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欧州の大手通信事業者アルティス(Altice)が、米国の中堅ケーブル事業者ケーブルビジョン(Cablevision)を約177億ドルで買収することで両社が合意したことが米国時間16日(Cablevision)にNYTimesなどで報じられた。
アルティスは今年5月後半に、米中堅ケーブル事業者サドンリンク・コミュニケーションズ(Suddenlink Communications)の株式70%取得を発表。さらに同市場第2位のタイムワーナーケーブル(Time Warner Cable:以下、TWC)獲得にも意欲を示していたことが伝えられていた。だが、TWCが5月下旬にチャーター・コミュニケーションズ(Charter Communications;以下、チャーター)への売却に合意したことから、この買収は実現しなかった。
しかし、アルティス創業者のパトリック・ドライ(Patrick Drahi)氏は9月初旬に公開されたNYTimes記事のなかで、米市場への本格参入を進める考えを示唆していた。またこの記事のなかでは、アルティスの潜在的な買収ターゲットとして、ケーブルビジョンのほか、同じくケーブル事業者のコックス(Cox Communications)、そしてAT&Tやベライゾンのテレビ事業(「AT&T U-verse」、「Verizon FiOS」)も挙げられていた。
ケーブルビジョンはニューヨーク州などを中心に事業を展開する中堅の事業者で、契約世帯数は約310万軒。平均世帯所得が比較的高い大都市圏を基盤とする有利さはあるものの、ベライソン「FiOS」との市場競争にもさらされている。そのため、大手通信・放送事業者の間で合併などによる業界再編が進むなか、規模的にも厳しい立場に置かれた同社の行方に一部で注目が集まっていた。
また同社の経営権を握るジェームス・ドーラン(James Dolan)氏の一族は、ケーブルビジョンのほかにマジソン・スクウェア・ガーデン(Madison Square Garden Company、2010年までケーブルビジョン傘下)の筆頭株主でもあり、ドーラン氏はその会長として複数のプロ・スポーツチームの運営やエンターテインメント系コンテンツの制作やテレビ番組配信なども手掛けている。有料テレビ放送加入者の減少が続くなかで、ドーラン氏は今後も比較的大きな利益を望めるメディア事業に軸足を移すことにした可能性がある。この話題を採り上げたWSJでは、ドーラン氏が今年6月に「従来型の有料テレビ加入者は今後5年間で20〜25%減少する」との見方を示していたと記している。
なお、2015年3月末時点の有料テレビ放送契約世帯は次の通り(Dish Networkの集計)。アルティスによるケーブルビジョン買収が実現した場合、契約世帯数はサドンリンクとの合計で約380万世帯となる計算。ただし、上位3グループ(AT&T-ディレクTV、コムキャスト、TWC-チャーター-ブライトハウス)との差は依然としてかなり大きい。
*1)AT&Tが買収
*2)チャーター主導での3社合併
【参照情報】
・Altice in Deal to Take Over Cablevision - NYTimes
・Altice In Advanced Talks to Buy Cablevision - WSJ
・Patrick Drahi Positions Himself to Be a Player in U.S. Cable - NYTimes
・Largest TV Providers By Number of Subscribers - Dish Network
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