original image: Maurizio Pesce(CC BY)
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チップメーカー大手のクアルコム(Qualcomm)が米国時間15日、同社の株主から出されていた事業分割の要求を拒否する考えを明らかにした。
クアルコムへの事業分割提案は、同社の株主であるジャナ・パートナーズ(Jana Partners)というヘッジファンドから今年4月に出されていたもの。ジャナはクアルコムに対し、チップ製造事業と研究開発・ライセンス事業とに2分割する提案を示し、これを検討するよう求めていた。また同社からはコスト削減、自社株買い戻しの前倒し、新たな社外取締役の選任などを含む要求も出されていた。
クアルコムは15日に招集した取締役会で、数ヶ月にわたって続けてきた検討の結果を報告し、現状維持の結論に達したという。同社のスティーブン・モレンコフ(Steven Mollenkopf )CEOはこの結論について、「現状と異なる組織構造では、現在のビジネスモデルにおける戦略的利益やシナジー効果を得ることはできない」などと説明したとNYTimesは伝えている。またクアルコムが同媒体に対して、「チップの製造販売事業は、利益率の点こそ特許ライセンス事業に劣るものの、自社で設計したチップのスピーディーな導入を図る上で全体に貢献している」などとコメントしたとしている。
クアルコムはこのところ売上・利益の減少が続いており、今年7月には、従業員の15%削減などを通じて、14億ドルの経費圧縮を図る計画を発表していた。
クアルコムは、中国市場における独禁法違反の疑いで同政府から調査を受けていた件について、今年2月に同政府に9億7500万ドルの罰金を支払うことで合意。しかし、今月はじめには欧州で同社の商行為を独禁法違反とする調査の結果が欧州委員会から出されていた。
今回の分割提案拒否に触れたBloombergでは、クアルコムの今後の新たな事業展開について、自社のモバイル通信関連技術を応用できるIoT分野、それにインテル(Intel)が優位に立つデータセンター用サーバ向けチップ市場などを挙げている。
なお、クアルコムは今回、2015年10〜12月期の四半期決算の見通しも発表。同社の予想をわずかに上回る業績となるとしている。
【参照情報】
・Qualcomm Completes Review of Corporate and Financial Structure - Qualcomm
・Qualcomm Analysis Concludes a Split Would Be Detrimental - NYTimes
・Qualcomm Decides Against Breakup - WSJ
・Qualcomm Rejects Split After Completing Strategic Review - Bloomberg
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