original image: © Feng Yu - Fotolia.com
中国でテロ対策法案が成立 - 米IT企業などへの影響に注目
2015.12.28
Updated by WirelessWire News編集部 on December 28, 2015, 17:36 pm JST
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2015.12.28
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中国政府が法制化を進めていた新たなテロ対策法案が現地時間27日に全国人民代表大会で成立した。これにより、テクノロジー企業各社には国家治安当局や警察などから要求があった場合、暗号解読の手助けやその他の技術的なサポートを行うことが義務づけられることになったという。
この法案は、中国政府がテロ対策法案の第二弾に含める考えで作成を進めてきたもので、最初の草案には、中国国内で活動する外国企業に対しても同国内にサーバーを設置することやユーザーデータを補完すること、テロとの関連性が疑われる記録を当局に引き渡すことなどを求める内容も含まれていた。NYTimesによると今回成立した法案では、草案の発表当初に批判の声が上がっていたテクノロジー企業に対して暗号解読キーやその他の極秘情報などの引き渡しを求める条項は削除されたものの、人権擁護団体などからは依然として「テロ防止」の大義のもとで同法が検閲強化の手段と使われる可能性を懸念する声も上がっているという。なお、Reutersによれば、この法案には、中国人民解放軍の海外でのテロ対策作戦への参加を許可する内容や、テロの詳細に関するメディア報道を制限する内容も含まれているという。
NYTimesによると、中国では以前から治安維持を目的にネット上の言論に対する検閲を行ってきているが、近年では新疆ウイグル自治区でのイスラム系住民による武力行使を伴う抗議行動なども活発化しており、政府側ではこうした動きがISISによるテロ行為につながることへの警戒感が高まっているという。
新華社ではこのニュースに関し、以前に米国政府から同法案に対する懸念の声が上がっていたことに言及しながら、自国でも活発な盗聴行為などを行ってきた米国による批判はダブル・スタンダードなどとする社説を掲載している。
このテロ対策法は来年1月1日にも施行される予定。ただし、たとえばiPhoneの暗号化されたユーザーデータの解読方法を自社でも持たないアップル(Apple)のような例もあり、そうした企業に対する中国政府の今後の出方が注目される。
【参照情報】
・China passes controversial counter-terrorism law - Reuters
・China Passes Antiterrorism Law That Critics Fear May Overreach - NYTimes
・Commentary: China's anti-terrorism legislation no excuse for U.S. agitation - Xinhuanet
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