original image: Michael Kumm(CC BY)
GM、配車サービスの米リフトに5億ドル投資 - 自動運転車開発などで提携
2016.01.05
Updated by WirelessWire News編集部 on January 5, 2016, 11:36 am JST
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2016.01.05
Updated by WirelessWire News編集部 on January 5, 2016, 11:36 am JST
米大手自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)が米配車サービス/アプリ市場第2位のリフト(Lyft)と自動運転車の開発で提携したことが米国時間4日に明らかになった。またGMがリフトの最新の資金調達に参加し、5億ドルを投資したことも発表されている。
配車サービス分野では、米国で圧倒的なシェアをもち、世界展開を進めるウーバー(Uber)が、米カーネギーメロン大学などと協力しながら独自の自動運転車開発を積極的に進めようとしていることが広く報じられている。いっぽう、以前から自動運転車の研究開発を続けてきているグーグルでも同プロジェクトの事業化に向けた動きを本格化させているとされ、昨年末にはこの関連で同社が米フォード(Ford Motor Company)と提携し、配車サービスを主な目的とする合弁会社を設立するのではないかとする話も報じられていた。
大手自動車メーカーが主要な配車サービスと自動運転車関連で提携するのは今回が初めて。また、リフトが中国のディディ、インドのオラ(Ola)、東南アジア各国で事業展開するグラブタクシ(GrabTaxi)といった各地域の大手事業者と「ウーバー包囲網」とも呼べる提携関係(資本提携、サービス相互乗り入れなど)にあることから、将来的には米国以外の地域にも今回の提携の影響が及ぶ可能性も考えられる。
今回の提携・出資でリフトの社外取締役に就任するGMのダン・アムマン(Dan Ammann)社長はBloombergに対し、「リフトと提携関係にあるアジア勢3社とも協力するチャンスがある」との見方を示している。
さらに、昨年中国への進出を開始したウーバーには、独自の地図情報やAI関連技術を核に自動運転車技術の開発を続ける中国バイド(Baidu)も出資しており、スマートフォン・自動車のいずれでも販売台数で世界一となった中国市場における両社の出方も注目される。
今回発表された提携の主な内容は、自動運転車の共同開発ならびにリフト・ドライバーへのGM車輌レンタルの2つ。後者については、自家用車を持たない人間でもリフトのドライバーとして賃金を得られるようにするというもので、完全な自動運転車実現までの暫定措置とみられなくもない。ただ、昨年末にカリフォルニア州の規制当局が発表していた自動運転車に関するガイドラインの素案に人間のドライバー同乗を義務づける項目が含まれていたことなども考えあわせると、今後しばらくは自動運転機能を搭載する車輌をドライバーが走らせるという運行の形が現実的にも思われ、GMの車輌レンタル・プログラムはそうしたシナリオを想定しての施策とも考えられる。
Buzzfeedなどによると、GMは独自に進めてきた自動運転車技術を同社の電気自動車「Chevy Volts」の新モデルなどに搭載し、今年中にも自社キャンパス内などで走らせたい考えを以前から明らかにしていたという。またGMは、同社が提供する独自の車輌通信サービス「OnStar」を活用することで、リフト顧客の利用状況などに関するデータ収集も可能になると思われるが、このあたりの詳細に言及した報道は見当たらない。
なお、GMのアムマン社長はWSJに対し、「自動運転車の大規模な普及はまずオンディマンドのライドシェア・プラットフォームから始まるとの見方で一致」したことをリフトとの提携の理由として挙げている。
Bloombergによると、リフトは現在米国内の約190都市でサービスを展開し、2015年上半期の収支は収入4670万ドルに対して1億2700万ドルの赤字、ただし利用者数の増加などから現在は年間10億ドルの総売上を見込めるレベルまで事業を拡大しているという。
Bloombergなどによると、リフトは今回の資金調達で総額で10億ドルを調達。そのうち半分をGMが、またサウジアラビアのキングダム・ホールディングズ(Kingdom Holdings)が1億ドルを出資し、残りはリフトの既存の出資者である楽天、米ジャナス・キャピタル(Janus Capital Management)、中国の配車サービス最大手ディディ・クアイディ(Didi Kuaidi)、それにアリババ(Alibaba Group Holding)が追加投資したという。この資金調達でリフトの評価額は55億ドルとなり、昨年秋に実施した前回の資金調達時の25億ドルからいっきに倍増した格好。ただし米などの市場でリードするウーバーの評価額はすでに646億ドルに達している。またWSJなどによると、GM自体の時価総額も約530億ドルであり、企業価値の金額だけを比べるとGMーリフト連合はウーバーに届かないという。
なおリフトの出資者のなかには、上記各社のほかに、カール・アイキャン(Carl Icahn)氏率いるヘッジファンド、有力ベンチャーキャピタル(VC)のアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)、ピーター・ティール(Peter Thiel)氏の経営するファウンダーズ・ファンド(Founders Fund)なども含まれている。また今回1億ドルを投資したサウジアラビアのキングダム・ホールディングズは、古くはアップル(Apple)やAOL/タイムワーナー(Time Warner)、最近ではツィッター(Twitter)などにも出資したことで知られるアル=ワリード・ビン・タラール王子が運営する投資ファンド。
【参照情報】
・Lyft And General Motors Are Partnering To Bring You On-Demand Driverless Cars - BuzzFeed
・Lyft, Now Worth $5.5 Billion, Hops Into The Autonomous Car Race With General Motors - TechCrunch
・GM is investing $500 million in Lyft to develop self-driving cars - The Verge
・GM Invests $500 Million in Lyft, Plans System for Self-Driving Cars - WSJ
・GM Invests $500 Million in Lyft - Bloomberg
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