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NTT東のクラウド型ロボットプラットフォーム、初弾サービスは介護レク支援ロボットを月額1万円以下で提供

2016.08.31

Updated by Asako Itagaki on August 31, 2016, 09:48 am JST

NTT東日本はクラウド型ロボットプラットフォームサービス「ロボコネクト」の提供を2016年9月1日から開始する。ロボットメーカー各社が提供するコミュニケーションロボットを活用し、コミュニケーション機能、カメラ撮影機能、遠隔対話機能などのアプリケーションをクラウド上で提供するサービスで、ユーザー管理機能と付加アプリ利用許諾機能を用いることで、事業者が独自に開発したアプリケーションサービスが利用可能となる。第一弾の対応ロボットとして、ヴィンストン株式会社のコミュニケーションロボット「Sota」が対応する。身長28センチ・体重800グラムと小型の卓上型ロボットだ。

▼ロボコネクトの全体像(報道発表資料より)
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コミュニケーション機能には、音声認識・合成エンジンなどのNTTグループのAI関連技術「corevo(コレボ)」を用いている。ソフトバンクのPepperと異なり、個別の話者を認識して会話を最適化する機能はないが、クラウド上に蓄積された会話データをもとに随時会話機能のアップデートが行われる。カメラ撮影機能は音声による操作で写真を撮影し、クラウド上にアップロード。スマートフォンやパソコンなどを通して確認できる。

ロボコネクト利用の初期費用は1ユーザー・1ライセンスあたり1800円(契約料800円、サーバー登録料1000円)、月額利用料は1ライセンスあたり3000円(いずれも税抜き、以下同様)。Sota本体価格は100,000円で、NTT東日本が販売する。

ロボコネクトとSotaの導入だけでもコミュニケーション、カメラ撮影、遠隔対話機能は利用できるが、さらにSotaを利用したアプリケーションとして、介護事業者向けにキューアンドエー株式会社が介護レクリエーション(以下介護レク)進行補助を行う「Sotaレク」を提供する。

▼大型ディスプレイに投影されるコンテンツと連動して動作するSotaが、介護レクの進行補助・支援を行う。

Sotaレクでは体操、歌、ゲーム、脳トレ、鑑賞、回想など84コンテンツの利用が可能(今後追加予定)。Sotaレクの年間利用料は14.400円(他に初期費用として専用光BOX20,000円および初期設定サポート費が必要)。

つまり10万円のロボットを購入すると、通信費も合わせて月額1万円以下での利用が可能となる。

介護事業者向けサービスでノンアクティブシニア層のインターネット利用を促進

NTT東日本ではインターネット未利用者が比較的多いシニア層への光ネットワーク普及拡大を課題と認識している。中でも、要介護者や介護支援を必要とするノンアクティブシニア層向けのアプローチとして、介護事業者を通じたICT利活用促進により、介護職員の稼働削減と被介護者であるシニアのQOL向上を目指す取り組みを進めてきた。(写真右:NTT東日本ビジネス開発本部第三部門未利用層開拓担当課長 菅光介氏)

調査の結果、介護施設に不可欠な活動である介護レクに、職員の作業負担が大きい、雰囲気作りに対して苦手意識を持つ職員が多い、シニアの方々の集中力を持続させることが難しいといった課題があることがわかった。

この課題に対する解決策として、2015年から、介護レクリエーションにおけるコミュニケーションロボット活用の実証実験を行ったところ、施設スタッフからは介護レク業務の負担が削減された、介護レクが実施しやすくなったという評価が得られた。また、専門家による介護対象者への評価では、映像だけを見せて行う介護レクに比べて、ロボットを併用した介護レクでは、DCM評価におけるME値(認知症の人の行動を観察した結果、ポジティブな感情や気分が認められる状態)が約2倍に改善された。

介護職員との意見交換では、「ロボットがいるならおしゃべりしたい」「写真撮影でもりあがりたい」「カメラを見守りに活用したい」「レクのコンテンツを増やしてほしい」といった要望があったという。また、価格については、インターネット利用料金含めて月額1万円以下を希望するという声が強かった。こうした声を反映して設計・提供したサービスが今回のサービスとなる。

▼デモンストレーションを行ったNTT東日本ビジネス開発本部第三部門アライアンス担当主査の岸美津子氏。実証実験にも立ち会い、「Sota君がどんどんかわいくなってきた」と語る。

既に介護施設に導入されているソフトバンクのPepperとの違いについて、菅氏は「小さくて丈夫で扱いやすく、価格的には月額10,000円以下でロボットサービスを利用できるという点で、よりご利用いただきやすくなるのではないか」と述べた。実証実験を行った施設に設置したSotaは、1年以上ハードウェアのトラブルはないとのことだ。

販売については、当面、介護施設を対象として、NTT東日本の営業担当者やウェブサイト経由での販売となる。当面は一般家庭向けの販売は予定していないが、「この価格なのでご家庭でもご利用いただきたいというニーズが出てきたら、介護事業者経由での提供も検討していきたい」(菅氏)とのことだ。初年度は250体の販売を目標とし、将来的には1万施設程度での導入を目指す。

ロボコネクトに対応するためにはロボットにAI機能などの組み込みが必要なため、現在市場に出ているコミュニケーションロボットをソフトウェアアップデートで対応させるというわけにはいかないのが残念なところだ。NTT東日本では、Sota以外のロボットやSotaレク以外のアプリケーションについても、市場ニーズを見ながら順次対応していく。

【報道発表資料】
多様なロボットや利用用途に対応可能なクラウドサービスでロボット市場を活性化~クラウド型ロボットプラットフォームサービス「ロボコネクト」を9月1日より提供開始~ (NTT東日本)
「Sota レク」介護レクリエーション支援サービス 提供開始~コミュニケーションロボットを活用してのサービス提供~(キューアンドエー)

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。