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見守りや空調管理でLPWAの実証が始まる、LPWA対応IoTゲートウエイの開発も
2016.11.18
Updated by Naohisa Iwamoto on November 18, 2016, 12:00 pm JST
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2016.11.18
Updated by Naohisa Iwamoto on November 18, 2016, 12:00 pm JST
低い消費電力で広いエリアの無線通信をカバーする「Low Power Wide Area(LPWA)」技術を活用した実証実験が始まっている。LPWAは、バッテリーによる長時間駆動や、基地局から離れた場所での通信を求めるIoTデバイスなどの通信用途での適用が期待される。この1週間で、具体的なユースケースを持った実証実験が2例と、様々なユースケースに適用できるLPWA対応機器の実証実験のアナウンスが相次いで行われた。
1つのユースケースが認知症高齢者の見守り探索サービス。ITを活用した介護や福祉ソリューションを手がけるLiveRidgeが、LPWAを利用した捜索実証実験を実施し、有用性を確認できたという。開発したのは、LPWAを活用した認知症高齢者の見守り捜索クラウドサービス「LiveAir」。NTTドコモとハタプロの共同事業である39Meisterと、ヘッドウォーターズと連携して実証実験を実施した。高齢者が所持する送信機の位置情報をLPWA通信により取得し、家族や支援者がインターネットを介して位置情報を閲覧できる。東京都世田谷区の介護デイサービス「イデア北烏山」で捜索実証実験を行い、早期発見に成功したという。LiveRidgeでは2017年春に「LiveAir」の本格市場導入を目指し、システム開発を継続する。
もう1つのユースケースが、空調機を管理への適用。ダイキン工業とNTT西日本が共同で空調機をLPWAに接続するフィールドトライアルを実施する。トライアルでは、ダイキン工業のテクノロジー・イノベーションセンターなど西日本エリアにある拠点の空調機を、NTT西日本のLPWAネットワークに接続。空調機の稼働状況や屋内外の空間情報を常時監視する。トライアルによって、LPWAを利用した空調機故障情報やセンサー情報の収集手法を確立したいい考え。LPWAによって、空調機と遠隔監視センターを低コストで常時接続できるようになり、故障の診断や対応の迅速化を進められる。またセンサー情報などを活用した新サービス、情報のオープンな取引の形態なども検討する。
こうしたLPWAを活用するユースケースを支援する機器の開発、実証も進む。NTTドコモは、センサーなどのIoTデバイスから得た情報をLPWA通信で集約し、さらにIoT向けのLTE通信である低カテゴリLTE通信でクラウドに送信するための「LPWA対応IoTゲートウェイ機器」を開発し、実証実験を開始した。実験では、IoT機器からゲートウエイ機器の距離が数kmといった広域通信、ゲートウエイ機器1台に100台規模のIoT機器を接続する大量接続について検証する。また、電池駆動で10年以上の長期稼働の実現を目指した検証も行う。具体的には、低カテゴリLTE通信のカテゴリ1や、カテゴリ1に省電力技術のeDRX(長周期間欠受信)を組み合わせた構成、さらにはカテゴリM1、カテゴリNB1を活用して省電力効果を検証する。LPWA通信をいったん集約して公衆回線経由でクラウドに情報を送信するIoTゲートウエイ機器の有用性を確認し、今後は複数規格のLPWA通信に対応したIoTゲートウェイ機器の開発・提供を視野に入れる。
【報道発表資料】
・IoT向け次世代通信技術LPWAを採用した認知症高齢者の見守り捜索サービスを開発
・LPWAを活かした空気にまつわる新たな価値づくりの取り組みについて
・様々なIoTサービスに利用可能なLPWA対応IoTゲートウェイ機器の実証実験を開始
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