米国ではメッシュWi-Fiが4割に、今後はメッシュネットワークをプラットフォームとして提供--クアルコム
2018.02.01
Updated by Naohisa Iwamoto on February 1, 2018, 11:49 am JST
2018.02.01
Updated by Naohisa Iwamoto on February 1, 2018, 11:49 am JST
クアルコム ジャパンは2018年1月31日、「クアルコム コネクティビティ事業戦略説明会」を開催した。説明会に登壇したのは、クアルコムテクノロジーズでコネクティビティ、ネットワークビジネスを担当するシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのラフール・パテル(Rahul Patel)氏。クアルコムはモバイル分野のチップセットでリーダーであるだけでなく、同社が持つ幅広い技術を使ってネットワーキングプラットフォームを提供する立場にあることを説明した。
ネットワーキングプラットフォームとして重要な技術として、パテル氏はWi-Fiを掲げた。「モバイル分野だけでなく、Wi-Fiでもクアルコムはグローバルのシェアで1位を誇る。その中でもメッシュWi-Fiをはじめとするメッシュネットワークがプラットフォームとして有効な技術だ」という。メッシュネットワークは、複数の無線LAN機器が連携して広いエリアで信頼性の高い通信環境を提供できるようにする技術。「すでに米国では、家庭用のWi-Fi機器市場で、メッシュWi-Fiが40%のシェアを持つところまで成長している」と同氏は現状を説明する。
次いで同氏は、メッシュWi-Fiを実現する要素技術として、独自技術の「Qualcomm Wi-Fi SON」の存在をアピールした。Wi-Fi SONは、Wi-Fiネットワークを自律制御する技術で、広いカバーエリアの確保や、周囲のWi-Fi電波との干渉の回避を、動的に自動で行う。「米国では広い家をカバーする目的で使われることが多いが、日本では隣の家などの電波との干渉を避けて信頼性の高いネットワークを提供することにつながるだろう」とホームネットワークでの主な用途を語る。
クアルコムのメッシュネットワーク技術を用いた製品は、NETGEARやサムスン電子、TP-LINK、ASUSなど多くの企業から提供されていることを示した後、同氏は「日本企業では、バッファローがメッシュネットワークの製品を開発している」と国内での展開についてもコメントした。
また、メッシュWi-Fiだけでなく、BluetoothやZigBeeといった近距離無線通信方式を併せてメッシュネットワークとして構成することで、家庭内のIoTデバイスを接続するプラットフォームを提供できるという。また通信事業者のサービスとしての利用に耐えるキャリアグレードの性能も提供し、信頼性の高いネットワークづくりに貢献する。「米国やカナダでは通信事業者がブロードバンドサービスの提供に採用している。日本でも通信事業者が製品やサービスを提供することを期待している」(同氏)。
さらに同氏は、メッシュネットワークのほか、AIスピーカーなどで用いるオーディオ技術、次世代の高効率無線LAN規格のIEEE802.11ax、高い周波数の60GHz帯を使う高速無線LAN規格のIEEE802.11adでも、クアルコムは業界をリードすることを説明した。その上で、メッシュネットワークとそれらの技術を組み合わせることで、音声や音楽の利用やウエアラブルへの対応、AR/VRのヘッドマウントディスプレイのワイヤレス利用、さらにIoTデバイスの活用といったホームネットワークでの様々なユースケースのプラットフォームが、クアルコムの技術のリーダーシップによって構築できることをアピールした。
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登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。