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日立国際電気 研究開発本部 5G/AI開発部の吉永 勇和氏

無線通信活用を推進する「Wireless Area Connect 5G対応通信プラットフォーム」が提供する価値

2023.02.08

Updated by Naohisa Iwamoto on February 8, 2023, 10:00 am JST

スマート社会を実現する際に、無線通信は不可欠なインフラである。その中でも、超高速、超低遅延・超信頼性、多数接続といった特徴を備えた無線通信を限られたエリアで実現するローカル5Gは、重要な位置を占める。ローカル5Gのプライベートなネットワーク構成と、性能・機能面の特徴が、スマート社会のソリューションと合致するためだ。

そうした中で、日立国際電気は同社のコアコンピタンスである「無線と映像」を核に、ローカル5Gの活用支援ソリューションを提供している。特に映像を活用する分野で、ローカル5Gの技術と経験を生かし、顧客に最適なソリューションを提供する。日立国際電気 研究開発本部 5G/AI開発部の吉永 勇和氏は、「日立国際電気では、ローカル5Gを使った無線通信ネットワークを構築できる、プラットフォームの提供を始めました」と語る。

日立国際電気の取り組み

そのプラットフォームが、Wireless Area Connect 5G対応通信プラットフォームである。日立国際電気は、無線と映像を活用したソリューションを企業や自治体に提供するにあたって、無線ネットワーク構築のシステムプロダクトや、具体的なシステムとしてのアプリケーション、サービスを提供している。さらに、システムプロダクトとアプリリケーション、サービスをつなぐプラットフォームとして、5G対応通信プラットフォームを提供することで、ローカル5Gなどの無線通信を活用したソリューション構築をトータルに支援する態勢を整えた。

切れやすく見えない無線を取り扱いやすく

ローカル5Gを含めた無線通信を活用する際に、何が課題になっていたのか。吉永氏は、「これまで業務アプリケーションを利用してきた企業・自治体にとって、有線から無線になることで配線がなくなるメリットは大きくあります。一方で、有線よりも信頼性や安定性に不安を覚えたり、電波が目に見えないことで取り扱いや活用方法が難しいと感じたりするケースは少なくありません。業務アプリケーションから見たネットワークとして、有線から無線への置き換えを容易にするプラットフォームが5G対応通信プラットフォームです」と説明する。

日立国際電気 研究開発本部 5G/AI開発部の吉永 勇和氏業務アプリケーション側から見た5G対応通信プラットフォームは、信頼性や性能が高い1つのネットワークとして取り扱えるということ。切れやすく見えない無線ではあるが、扱いやすいネットワークとして利用できるようにする。詳細は、2023年2月7日から10日に開催するオンラインイベント「日立国際電気ソリューションフォーラム(HKSF)2022」で吉永氏が説明している。

ここではそのポイントになる機能を簡単に紹介したい。1つが、「無線ネットワークの高信頼化」。これは無線通信の弱点である信頼性の低さを補うためのもので、有線に近い信頼性を確保する。2つ目が「無線ネットワークの見える化」で、5G対応通信プラットフォームが構成するネットワークの情報を一括して管理して、可視化できるようにする。3つ目が「無線ネットワークと業務アプリケーションとの連携」。無線ネットワークの制御や運用の情報を業務アプリケーションと連携し、業務アプリケーション側での最適なネットワーク活用を図る。

5G対応通信プラットフォームを活用するための通信機器として、「マルチ無線モデム」も提供する。5G、LTE、Wi-Fiの無線インタフェースを備え、5G対応通信プラットフォームサーバー側からの一元管理が可能な無線モデムである。ローカル5Gによる利用はもちろん、プライベートLTEやWi-Fi、公衆無線サービスなどを組み合わせて活用して、端末をネットワークにつなぎこむ。「無線インフラを適材適所で活用するために有効な無線モデムです」(吉永氏)。

ローカル5Gが現場で活用される用途

5G対応通信プラットフォームや無線モデムなどを活用することで、実際に業務の現場ではどのような効果が得られるのか。オンラインイベントのHKSF 2022の吉永氏のセッションに詳細は譲るとして、すでに実証実験などから得られた効果のポイントをこう語る。

日立国際電気 研究開発本部 5G/AI開発部の吉永 勇和氏

「1つは、遠隔制御の信頼性向上です。Wi-Fiでは難しかった信頼性の高い制御が、ローカル5Gを使える5G対応通信プラットフォームでは実現できます。2つ目は、重要通信の優先伝送です。ミッションクリティカルな情報を無線通信で確実に届けられるような制御が可能です」(吉永氏)。そうした中で、見えない無線を確実に使うためには「実地での測定が非常に大きなポイントになります」と吉永氏は語る。現場で業務を円滑に進めるためのソリューションだけに、現場での対応力が求められるのだ。

5G対応通信プラットフォームの詳細や無線モデムをはじめとする構成機器の紹介、そして顧客との協創で生み出されるソリューションについては、HKSF 2022のセッションで確認していただきたい。

HKSF 2022のコンテンツを視聴する際には、「HKSF 2022」専用サイトから登録をお願いします。吉永氏のインタビューは、スペシャルコンテンツ「日立国際電気のテクノロジーを支える研究開発者の現場」でご覧いただけます。また、ソリューション紹介「ローカル5Gソリューション〜5Gをはじめとする無線伝送のIoTシステムへの最適活用、積極活用を促進する5G対応通信プラットフォーム〜」も併せてご覧ください。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。