Updated by 中村 航 on August 29, 2025, 10:30 am JST
中村 航 wataru_nakamura
1985年生まれ。福岡県福岡市出身。翻訳者。テクノロジーやファッション、伝統工芸、通信、ゲームなどの分野の翻訳・校正に携わる。WirelessWire Newsでは、主に5G、セキュリティ、DXなどの話題に関連する海外ニュースの収集や記事執筆を担当。趣味は海外旅行とボードゲーム。最近はMリーグとAmong Usに熱中。
米オクシデンタル・カレッジのマイケル・ヒル教授らの研究チームが、レーザーを使わない新しい視力矯正法を開発している。角膜を削る従来のレーシックに代わる可能性がある技術として、2025年8月に開催された米国化学会(ACS)の年次大会で発表があった。
背景には、角膜を切開・削除するレーシック手術の限界がある。レーシックは広く普及している一方で、角膜強度の低下や副作用の懸念が指摘されており、非侵襲的かつ低コストな代替法の研究が進められている。
研究チームが開発したのは「電気機械的リシェーピング(Electromechanical Reshaping, EMR)」と呼ばれる方法だ。角膜にごく弱い電流を流すことで組織を一時的に柔らかくし、特殊なプラチナ製“コンタクトレンズ”型電極で狙った形に成形する。その後、電流を止めると角膜が硬化し、新しい形が固定される仕組みだ。
ウサギの摘出眼球12例(うち近視モデル10例)を用いた実験では、約1分の通電で角膜の曲率がレンズ形状に一致し、近視モデルでは焦点力が目標値に調整されたという。また、別の試験では化学物質で生じた角膜混濁の改善効果も示唆されている。
研究者らは「高価な装置や切開を必要とせず、将来的には可逆的な視力矯正が可能になる」としている。ただし、現在は動物実験段階にとどまり、臨床応用にはさらなる検証と長期的な研究が不可欠とされている。
参照
An alternative to LASIK — without the lasers – American Chemical Society