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動画で体験、KDDIが描く情報通信の将来像――WJ×WTP2026 KDDIブースリポート

動画で体験、KDDIが描く情報通信の将来像――WJ×WTP2026 KDDIブースリポート

July 1, 2026

WirelessWire & Schrodinger's編集部 WirelessWire & Schrodinger's編集部

将来の情報通信の世界を支える技術の今を見る。そんなチャンスがワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク2026(WJ×WTP2026)のKDDIブースに設けられていた。KDDIの開発成果やKDDI総合研究所の研究成果など、5Gミリ波から6Gに向かう無線通信やAI時代の情報通信のあり方を考えさせられる多彩な展示やデモがあった。お台場の東京ビッグサイトで5月に開催されたWTP 2026に訪れることができなかった人も、現地でKDDIブースに足を運ぶ時間がなかった人も、キャッチアップはこのページからできる。現地のリアルなデモや展示の説明を、以下のそれぞれのリンクから動画で体験できる。周囲のブースの音が聞こえてくる動画は、より一層会場の雰囲気を感じさせるものだ。

次世代無線を身近にする

ミリ波でドラマを「1秒ダウンロード」

ミリ波でドラマを「1秒ダウンロード」

5Gミリ波通信の活用シーンとして、映像コンテンツの高速ダウンロードのデモが行われた。デモでは、東京ビッグサイトに設置されているミリ波の基地局から端末へのダウンロードと、既存のSub6を使ったダウンロードの比較を検証。ドラマ全10話の映像コンテンツ、約1.4GBのダウンロードが、Sub6では40秒ほどかかるところ、ミリ波では全10話でも10秒ほどでダウンロードできることを示した。すなわち30分番組の1話なら「1秒ダウンロード」が可能というわけだ。駅や空港など、移動前にコンテンツを高速にダウンロードすることで、移動中に途切れがちなストリーミングを利用しなくて済むユースケースも紹介した。

街中のポスターや看板でミリ波を届ける

街中のポスターや看板でミリ波を届ける

周波数が高いミリ波は、直進性が高く、障害物に弱い特性がある。人間の影になるだけでも、電波が届きにくくなってしまう。KDDI総合研究所では、メタサーフェス反射板という、電波を狙った方向に反射できる特殊な反射板を使って、ミリ波のエリア確保に取り組んでいる。デモでは、ポスターの形のメタサーフェス反射板を使って、デモを実施するエリアを狙ってミリ波を反射させた。直接波が人体などで遮られたときのスループット低下を防ぎ、ピンポイントで安定したミリ波の通信エリアを低コストに確保する取り組みとして、紹介していた。

ミリ波中継機でエリア拡大を実証

ミリ波中継機でエリア拡大を実証

電波が届きにくいミリ波の通信エリアを地域などの広域で実現するKDDIの取り組みとして、ミリ波中継機の展示もあった。ミリ波中継機は、ミリ波の電波を受けて、増幅して送信することでエリアを拡大するもの。複数のミリ波中継機を組み合わせることで、メッシュ状にエリアを構成、拡大できる。展示では、2024年に東京・西新宿で実施したミリ波中継機の実用試験の結果を紹介。ミリ波エリアの道路カバー率を中継機なしの33%から99%に拡大でき、拡大エリアで最大2.1Gbpsのスループットを確保できたと説明した。電源さえあれば設置できる小型のミリ波中継機は、バックホール回線が必要な基地局に比べて設置が容易で、面的なエリアの拡大の手法として今後に期待が持てる。

「つながりやすい」無線通信を提案する新技術

「つながりやすい」無線通信を提案する新技術

2030年代の6G時代には、人間だけでなく、スマートグラスやロボット、ドローンなどの無線通信がさらに広く普及し、クラウドやAIと連携を強めていく。言い換えれば、無線通信が届かないと、サービスや価値が提供できないケースが生じてしまう。KDDI総合研究所では、「つながりやすい」を当たり前にするための新技術として「セルフリー通信」を提唱し、ユーザーが中心にある形の無線アクセスネットワークである「ユーザーセントリックRAN」の実証を進めている。基地局を中心にセルを作る既存のネットワークと異なり、複数の基地局が協調してユーザーを中心にエリアを構成することで、安定した通信を実現する。ブースでは、KDDI総合研究所で実証した結果を紹介。既存方式では干渉が強かったり電波が届きにくく通信品質が低下する場所でも、セルフリー通信では安定性が確保できることを示した。

WTP 2026 KDDIブースリポート

ネットワークを賢くする

システムの復旧支援から保全までをAIエージェントで自律的に

システムの復旧支援から保全までをAIエージェントで自律的に

通信システムは、高度化が進むと同時に複雑化も増している。そうした中で人手による運用保守は限界に近づいている。KDDIでは、AIによる運用の自律化の研究を推進している。WTP 2026の展示では「復旧支援AI」と「保全AI」という2種類のAIエージェントを連携させた障害対応の様子を示した。障害の原因を分析して運用担当者を支援する復旧支援AIは、すでにKDDIのネットワークで運用を開始している。一方、保全AIは障害の予兆を検知し、自律的に復旧措置まで実行することを目指している。

AIが自律的に通信エリアを最適化

AIエージェントが自律的に通信エリアを最適化

6G時代にはAIの学習や推論を支える高品質なネットワーク、いつでもどこでもつながる高信頼のネットワークが要求される。KDDIとKDDI総合研究所ではネットワークの品質向上について、3ステップのワークフローの取り組みを進めている。現状は大量なデータとエキスパートのナレッジによる通信最適化を行っている。これに加えて強化学習による試行錯誤で最適化を進める。学習量が膨大になる強化学習では、KDDI総合研究所は分散型AIにより学習期間の大幅な短縮を果たした。今後は、デジタルツインRANによるエリア最適化を分散学習AIに組み合わせることで、さらに学習の安定した運用と高度化を目指す。

将来の通信増大に向けた基地局の省電力化技術を紹介

将来の通信増大に向けた基地局の省電力化技術を紹介

AIエージェントが普及する今後は、さらに通信トラフィックの増加が見込まれる。そのため通信事業者は高品質なネットワークを低コストで、持続可能な形で提供する必要がある。近づきつつある6G時代に、基地局を省電力で稼働させる技術についての展示もあった。KDDI総合研究所とノキア ベル研究所の共同研究の成果を発表したものだ。通信状況によって「時間」「周波数」「空間」「送信電力」のそれぞれで、リソースの割り当てや使用方法を最適化することで、通信に影響を及ぼさずに省電力化する。5Gに適用した実証の結果、最大40%の消費電力削減が可能になったという。

情報通信のさらなる広がり

Starlink活用の幅を広げるKDDI先行の取り組み

Starlink活用の幅を広げるKDDI先行の取り組み

「空が見えれば、どこでもつながる」を実現する衛星通信サービス「au Starlink Direct」は、国内で他の事業者に先行して提供を開始し、機能強化も進めてきた。WTP 2026のKDDIブースでは、さらに一歩先を行くユースケースを紹介した。1つ目は、閉域網への適用。KDDI Wide Area Virtual SwitchでStarlink回線を利用できるようになった。2つ目は、通信事業者としての用途で、災害時に備え、予め携帯電話基地局のバックホール回線としてStarlink回線を冗長化しておき、災害時にバックホール回線を遠隔で切り替えを行う検証を行ったことを紹介した。3つ目と4つ目はサービスの拡大について。IoTデバイスとStarlink衛星が直接通信して、携帯電話圏外のエリアでもIoT通信が可能になる。また、海外ローミングの対象国として、米国に加えて、カナダ、フィリピン、ニュージーランドへと拡大した。デモでは、Starlink回線を使って、携帯電話回線が利用できない状況でも地図アプリ上でルート案内が可能なことを示していた。

3D点群データをStarlink衛星回線でリアルタイム伝送

3D点群データをStarlink衛星回線でリアルタイム伝送

衛星通信のStarlink回線を利用して、3D点群データと映像を伝送する取り組みを紹介した。3D点群データは、モノや地形などの立体的な情報を取得でき、現場の作業や災害対策などでの活用が進んでいる。一方で膨大なデータをリアルタイムで伝送する困難さもあった。KDDI総合研究所では、国際標準の3D点群データの圧縮規格に準拠しながら、映像と同時にリアルタイムで圧縮伝送する技術を開発。ブースでは、南極の昭和基地内設備の3D点群データをStarlink回線で日本へリアルタイム伝送した際のデータを用い、受信側の表示を再現したデモを紹介。スマートフォンで3D点群データを取得していくと、配管などの3Dの状況が着々と届く様が確認できた。遠隔地の作業DXや災害対策の高度化に貢献することを想定する。

光通信技術の進展で実現を目指す「AIデジタルベルト構想」

光通信技術の進展で実現を目指す「AIデジタルベルト構想」

KDDIは2026年5月に発表した中期経営戦略「Power-to-Connect 2028」で、「AIデジタルベルト構想」を提唱した。通信基盤とAI基盤を統合し、陸海空を網羅した低遅延ネットワークと計算資源基盤を整備する構想だ。WJ×WTP2026のKDDIブースでは、AIデジタルベルト構想を支えるオールフォトニックネットワーク(APN)への取り組みを紹介した。長年にわたる光海底ケーブルで培った光通信技術を地上ネットワークに応用するもので、複数の技術を組み合わせることで伝送容量を100万倍に引き上げる。遠隔地のデータセンターのサーバー同士が同じ場所にあるような新しい用途が生まれるという。さらにAPNの普及促進に向け、APNを単一事業者のネットワークにとどめず、事業者をまたいで利用できるようにする標準化の取り組みも紹介した。データセンター間、データセンター内のAPN接続技術についても説明があった。


KDDI総合研究所との連携研究にご興味のある方はぜひ下記からお問い合わせください。
https://www.kddi-research.jp/inquiry.html

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