ベストプラクティス (読み)べすとぷらくてぃす
一般的にはプロジェクトをもっとも効率よく、もっともスマートに、そしてもっとも成果をあげること、あるいはあげるための方法論や手法、成果物それ自身を指すこともある。一言で云うなら「最適解」。
2019.03.22
ベストプラクティスという考え方、あるいは作り出される手法はありとあらゆる分野、少なくとも「問題」が存在するすべての分野で求められる。昔から存在する分野であれば、先人の無数の試行錯誤の結果から、ほぼこれがベストプラクティスであろうと思われる手法は確立しているので、それに若干のアレンジを加えるだけでいいが、まったく新しい分野の場合、たとえば「人工知能を実現するための研究と社会への実装」など、現在存在していないものをどのように作り出し、どのように試験し、どのように社会に実装するか、そしてそれが肯定的に評価され、社会全体をより良いものにできるかという問いには、前例などないし、仮説すら存在しない。となれば、衆知を集めて仮説を立て検証するサイクルを回す試行錯誤が必須となる。実際にAIや他の先端分野にもこれを求めるためのスキームや組織が存在する。
つまり、既存の分野であれば(たいがいの場合)ベストプラクティスはほぼ確立しているので「適用するもの」となるが、未知の分野だとベストプラクティスは「創り出すもの」になる。などと考えていくと「ベストプラクティスとは最適解である」がもっとも正解に近いと思う。あるいは「ベストプラクティスとはものごとをうまくやるためのテンプレートである」とか。見方を変えれば、道具を作るための道具、あるいはモノを作ることを補助する道具=治具(じぐ)ともいえる。これなしにモノを作ろうとするとかなりの時間と労力のロスが生まれるし、仮にこれなしに実現したとしても、それは偶然の所産と見なされ、検証もできず、あとへの教訓を引き出すこともできない、それ自体が一種のブラックボックス、暗黙知となってしまう。
事業構想大学院大学ベストプラクティス研究会
事業構想大学院大学出版部 (2018/05)
|1,500円(本体)
|A5判
|207p
|9784883354399
▼ベストプラクティスは一般概念なので、考え方も実現型も分野によって千差万別であり、すべての分野に通用する「ベストプラクティス一般」を扱った書籍は見当たらないが、それぞれの分野ごとに探せば「ベストプラクティス」を冠した本は大量に存在する。で、今回は「こんな本も出ています」ということで。