米FCC、2.3GHzを携帯通信事業者に解放へ - 事業者間の競争低下に懸念
2010.05.21
Updated by WirelessWire News編集部 on May 21, 2010, 15:46 pm JST
2010.05.21
Updated by WirelessWire News編集部 on May 21, 2010, 15:46 pm JST
▼Federal Communications Commission (FCC) Home Page
米国連邦通信委員会(FCC)は、2.3GHz帯の25MHz幅をモバイルサービスに使うことを認めた。これは今後10年間に500MHz分を解放していく方向性の中で最初の大きな一歩となる。
この周波数帯はシリウスXMラジオ(SIRIUS XM Radio:以下、シリウス)の衛星を使ったラジオ放送--SDARS(衛星デジタル・オーディオ・ラジオ・サービス)--との干渉が心配されてきたところで、カバレッジの広さからカーラジオなどで利用されており、フォードや日産、メルセデスベンツなど自動車メーカーは衛星ラジオ側を応援していた。
全米1900万の衛星ラジオ聴取者を持つSIRIUSと、新しい周波数帯で新サービスの提供を行いたいAT&Tやスプリント・ネクステル(Sprint Nextel)などの携帯通信事業者は、2.3GHz帯の利用について長期に渡って論争を続けてきた。シリウスはコマーシャルによる広告収入モデルではなく、有線放送やCATVのように(あるいはNHKのように)利用者から料金を徴収する加入契約モデルで、2001年からサービスを開始している。米国トラック協会(American Trucking Associations)も衛星ラジオ放送を擁護していた。しかし、今回のFCCの決定はモバイル事業者寄りのものとなっている。FCCによると、実験結果から、干渉については問題なさそうとのことだ。
これとは別に、FCCは携帯通信業界の競争環境に関するレポートのなかで、2003年以来使っていた「競争が十分」という表現を外した。同レポートでは明示的に競争が不十分とは言っていないが、AT&Tとベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)の2強への偏りが進んでいることが指摘されている。アメリカ人の74%は5社以上のモバイル事業者から選べるようになった(1年前の調査では65%)が、地方では90万人が1社もカバーしていない地域に住んでおり、さらに1社しか選べない状態に取り残されている人が2400万人もいるという。このレポートにより、即座に各事業者への規制が強化される様子はなさそうだが、今回事業者間の寡占化が進んでいることが明示されたことで、今後の議論の出発点になるものと思われる。
【参照情報】
・FCC Opens Up 25MHz in 2.3GHz Band (Light Readign Mobile)
・Wireless, Sat Rad Interference Fight Heats Up (Radio World)
・FCC: Less Rivalry in Wireless (Wall Street Journal)
・FCC dings wireless industry on competition (FierceWireless)
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