WirelessWire News The Technology and Ecosystem of the IoT.

by Category

もうオーバーヒートはないのか - ドイツでの4G周波数帯オークションの総括

2010.06.01

Updated by WirelessWire News編集部 on June 1, 2010, 10:39 am UTC

201006011039-1.jpg

(cc) Image by Lukasz Kryger

"digital dividend"("デジタル・デビデンド")という言葉がある。直訳すれば「デジタル配当」だが、具体的には、テレビの地上波アナログ放送に使われていたが、デジタル化に伴って空く周波数帯域のことを指す。「アナログ跡地」などと訳されることもあるが、デジタル化によってもたらされる恩恵(配当)という意味で使われる新語だ。この「デジタル化の配当」をモバイル事業者のLTEに割り当てるオークションを先週締め切ったドイツの事情について、GSM Media("GSMA Mobile World Congress"を主催)の"wirelessintelligence"サイトにアナリストの分析が掲載されている。

今回の4Gオークションは、Tモバイル(T-Mobile)、ボーダフォン(Vodafone)、O2という大手各社が周波数を分け合った形で終わったが、オークションに先立って2009年9月にはO2とイープラス(E-Plus)の2社が「オークション制度による周波数割当が、枠組みとして既存のキャリアで周波数を保有している大手に有利であって不公正だ」という訴えを起こしていた。裁判所によってこの訴えは退けられたが、その主張通り、落札したのは大手3社だった。

10年前(2000年)の3Gオークションでは、新規参入組がW-CDMA市場の可能性に幻惑された結果、入札価格が高騰した。具体的には、1900MHz帯と2100MHz帯の合わせて125MHzの帯域に対して、落札した通信事業者は505億16000万ユーロを支払った。この総額を125で割って1MHz当たりの額を求め、さらに当時のドイツの人口で割ると、人口1人当たり、1MHzの周波数に4.92ユーロを支払った計算になる。この同じ計算を2010年の4Gオークションについて行うと、人口1人当たり、1MHzに0.15ユーロ支払ったことになる。つまり10年前のオークションに比べて、今回の落札額は97%も下落したことになる。

今回のオークションが過熱したなかった理由について、同レポートは(1)競争が少なかった(2)応札条件が厳しかった(3)業界が2000年の教訓から学んで成熟した、という3点を挙げている。(2)の応札条件の厳しさについては、「デジタル・デバイド」の解消に有効活用するという国の方針から、都市部よりも先に地方での提供を先に行う義務が課せられたことを指すようだ。

ドイツは今後、スイス、フランス、イギリスで予定されている「デジタル・デビデンド」周波数オークションの前例となる。先週にはモバイルのネットワーク・プランニングを事業者向けに提供するイギリスのエアーコム(Aircom)が「イギリスの携帯通信事業者は、LTEに投資する代わりに、3GネットワークをアップグレードしてHSPA+を提供すれば、コストを3分の1に抑えることができる。その結果、約12億ドル(1ドル91.42円換算で約1097億円)も節約できる」という試算を発表している。設備投資額を抑えられるはずの800MHz帯でも、20MHz幅だけ使うのではLTEの実力を十分に発揮できないとの指摘もある。いずれにしても各国のオークションの動向が注目される。

【参照情報】
Germany prepares to launch LTE using digital dividend spectrum (wirelessintelligence)
Telcos can delay LTE, upgrade 3G, save cash -Aircom (Reuters)
LTE not the only option for mobile operators today, says AIRCOM (プレスリリース)
ドイツの4Gオークション終了 - 落札額は予想を大幅に下回る
独ケルンでのLTE用周波数帯オークションに裁判所の「待った」がかかるか

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら