シンガポール版「光の道」 - 政府は有線に固執、市場は無線に軸足
2010.06.02
Updated by WirelessWire News編集部 on June 2, 2010, 11:59 am JST
2010.06.02
Updated by WirelessWire News編集部 on June 2, 2010, 11:59 am JST
シンガポール政府は2006年6月、「インテリジェント・ネイション2015」("iN2015")構想を発表し、次世代ブロードバンド網の整備計画をぶち上げた。このブロードバンド網は「次世代全国ブロードバンドネットワーク」("The Next Generation National Broadband Network:"Next Gen NBN"または"NBN")と呼ばれ、1Gbps以上の光ファイバ網を構築することにより、2010年までに世帯及び法人の60%、そして2012年までにはほぼ100%がインターネットに接続できるようにすることを国策としている。
同国の2008年度末におけるインターネット接続の世帯加入数は約110万(全人口は約499万人)。ブロードバンド加入者数は2004年度の約55万から2008年度には約100万強にまで急増し、ブロードバンド化はほぼ完了しているといえる。ただし、この期間にインターネット普及率は2004年の52.45%から24.57%に急落している。有線のナローバンド・インターネットをやめた利用者は、案の定、モバイルに移っている。携帯電話の加入者数は2004年の399万(普及率は93.4%)から、2008年には637万強に増え、普及率は約142%に達している。それでも政府はファイバーに固執しているようで、NBN実現のための投資を続けるという。
しかし民間の業界関係者は違った見方をしている。そもそも人口密度世界2位のシンガポールでは、随所に無料のWi-Fiアクセスポイントがあるので、PC利用者はわざわざ自宅にファイバーを引き込む必要性を強く感じないそうだ。それよりも、大きめの画面の3G携帯端末やモバイル・ブロードバンドの方が魅力的で、2009年の普及率は14%だが、2014年には40%を超えるという予想もある。
また有線ではペイTVの成長が著しいようで、現在65%に達している普及率が、2014年には89%にまで増えると予測されている。テレビへの動きはモバイルでも顕著で、2008年には主要な事業者がDVB-H(Digital Video Broadcasting - Handheld:ハンドヘルド用デジタルビデオ放送--主に欧州で導入されている移動体テレビの規格)に基づいたモバイルTV実験を行っている。同国最大の放送メディアである政府系のメディアコープ(MediaCorp)もこの実験を完了しており、商用サービスの開始は規制当局の決定を待つばかりになっている。
【参照情報】
・Mobile Broadband to Grow Exponentially in Singapore (Top News Singapore)
・Singapore Set for Broadband Ramp (Light Readig)
・Singapore: Fiber Initiative to Drive Higher Adoption of Broadband and Pay-TV (Pyramid Research)
・インターネット、ブロードバンド加入者数及び普及率(世界情報通信事情)
・シンガポール政府、4G向けパブリックコメント募集を開始
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