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[先週の話題]ドコモから波紋が広がったSIMロック解除、他社への圧力になるか

2010.07.12

Updated by WirelessWire News編集部 on July 12, 2010, 10:10 am JST

7月も第2週目となった先週は、ようやくiPhone 4が話題の中心を占める状況からは一段落した。そこに急浮上してきたのがSIMロック解除に向けての新しい展開だった。

ドコモを動かしたSIMロック問題

ことは7月6日に起こった。報道機関のインタビューに対して、NTTドコモの山田社長が「2011年4月からSIMロックを解除する」と語ったことがすぐさま報道されたのだ。NTTドコモは正式な報道発表資料をリリースしなかったのだが、このニュースは業界のみならず一般社会にまでも一気に広まった。新聞、Web、テレビなどでは大きく報道され、SIMロック解除の意味をより周知することになった(関連記事:NTTドコモ、2011年4月発売の端末からSIMロックを解除へ)。

201007121010-1.jpgドコモの戦略は肉を切らせて骨を断つ方式だろう。最大のキャリアーであるNTTドコモは、通常であればユーザー流出のリスクがあるSIMロック解除には及び腰になるところ。しかし、iPhoneやiPadという超人気端末をソフトバンクモバイルに握られていて、これらのSIMロックを解除できればNTTドコモのSIMで使ってもらえると踏んだ。そのためには、世論も味方に付けてまず自社がSIMロックを解除し、公平条件という錦の御旗の元でソフトバンクモバイルにSIMロック解除を迫るというストーリーである。

SIMロック解除は、キャリアーのサービスへの依存度が低いスマートフォンで、よりユーザーの流動性を高める可能性がある。この戦略が成功すれば、NTTドコモは労少なくして自社サービスのユーザーに最新端末を"提供"できるのだ。

そこまでするには数字の裏付けがある。ちょうどドコモのSIMロック解除宣言の翌日、6月の携帯電話の契約数が明らかになった(関連記事:2010年6月の携帯電話契約数、純増はiPhone 4効果でソフトバンクの圧勝)。全体のボリュームとしてはNTTドコモは磐石の首位ながら、純増数というフローの数字ではソフトバンクモバイルに歯が立たなくなっている。iPhoneやiPadを持つソフトバンクモバイルに対して、ドコモですらチャレンジャーの立場でSIMロック解除を仕掛けていくことになったと言える。

業界地図に変化の兆しも

201007121010-2.jpgドコモがSIMロック解除を仕掛けた7月6日、1つの業界再編劇がアナウンスされた。フィンランドのノキアが、携帯電話によるデータ通信を支える技術であるワイヤレスモデムの事業を手放すというニュースだった(関連記事:ノキア、ワイヤレスモデム事業をルネサスに譲渡)。ワイヤレスモデム事業は約180億円でルネサス エレクトロニクスが買い取ることになった。

ノキアは言わずと知れた携帯電話メーカーの雄であり、ネットワーク設備から端末までをフルラインで持っていた会社だった。ネットワーク設備はすでにノキアシーメンスネットワークスという形で最適化を進めており、さらに通信技術の要でもあるワイヤレスモデム事業をルネサスに譲渡することになった。ノキアとルネサスは、今後も長期的な協力体制を築くことで合意しており、ノキアから技術が完全になくなってしまうわけではない。しかし、スマートフォンの隆盛の前に苦戦している巨人の姿が見え隠れする。

国内では、MVNO事業などで気を吐く日本通信が、6月単月とはいえ黒字化を達成したという明るい話題があった(関連記事:日本通信が6月単月の黒字化へ、SIM製品やモバイルWi-Fiルーターの好調が寄与)。黒字化の理由として同社は、4月に投入したSIMカード製品「b-mobileSIM U300」や、5月に投入したモバイルWi-Fiルーター「b-mobile Wi-Fi」の好調を挙げている。なかなか一般に認知されにくかった同社のMVNO事業が、SIMロック解除の話題とともに世に広まりつつあるようだ。

キャリアーの海外展開の話題を1つ。前週にフィリピンで情報配信サービス「iチャネル」の現地版を提供するとアナウンスしたNTTドコモが、今度はスペインでの事業展開について発表した(関連記事:ドコモ・ヨーロッパ、スペインで法人向け販売代理店契約)。ドコモ・ヨーロッパがスペインのテレフォニカ子会社と販売代理店契約を結び、現地の携帯電話回線を組み込んだソリューションを在欧の日系企業に提供する。海外でも日本品質を求める日系企業にはありがたいサービスなのかもしれない。

YouTubeに新しいモバイル版、Wi2はAndroid向け接続ツール提供

引き続き先週のトピックをいくつか紹介しよう。

グーグルは、動画投稿サイト「YouTube」のモバイル版を改良したと発表した(関連記事:グーグル、YouTubeの新しいモバイル版で高速化など機能強化)。iPhoneやAndroid端末のブラウザーでアクセスするもので、高速化や表示の最適化を行った。スマートフォンにはYouTube視聴のアプリが組み込まれているが、ブラウザー経由で使うことで最新の機能や操作性をいち早くスマートフォンでも利用できるようになるという。当初は英語版だけの対応で、他言語での利用は数カ月の待ちになる見込みだ。

国内では公衆無線LANサービスを提供するワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)が、スマートフォンや携帯電話への対応を強化している(関連記事:Wi2のWi-Fiサービス、Android端末やソフトバンクWi-Fiユーザーでも利用可能に)。Android端末向けには、Wi2の公衆無線LANサービスを簡単に使えるようにするアクセスツールを提供。またソフトバンクモバイルと提携し、「ソフトバンクWi-Fiスポット」ユーザーがWi2の独自エリアで通信できるようになった。

技術の進展に対するアナウンスもあった。イー・モバイルは7月6日、下り最大42Mbpsが見込める新技術「DC-HSDPA」の商用環境デモで、40Mbpsを超えるスループットを達成した(報道発表資料:国内最速 DC-HSDPA(下り最大42Mbps)の商用環境デモにて40Mbps超を達成
)。DC-HSDPAは、下り最大21MbpsのHSPA+を2つ束ねて受信し、理論値として42Mbpsの高速通信を実現する技術。イー・モバイルは今回の成果を踏まえて、今秋にもサービスの詳細を発表する予定である。

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