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携帯3社の2011年3月期通期決算、スマートフォン効果などで3社そろって増益

2011.05.16

Updated by Naohisa Iwamoto on May 16, 2011, 12:00 pm UTC

携帯電話大手3社の2011年3月期の通期決算が、連休明けのソフトバンクの発表により出揃った。NTTドコモとKDDIは減収増益、ソフトバンクは大幅な増収増益と状況は必ずしも同じではないが、3社とも増益となる通期決算になった。

▼2011年3月期(通期)の携帯電話3社の決算概要
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スマートフォンの急増効果--NTTドコモ

まずNTTドコモの通期決算から見ていく。営業収益は4兆2243億円で前期比1.4%の減収だったが、営業利益は8447億円を確保し前期比1.3%の増加で期を終えた。音声収入の減少は続くものの、パケット収入が大きく増加するとともに、その他収入やコスト削減の効果で増収を確保している。パケット収入は前期比6.7%増の1060億円の増収となり、収支に大きく貢献した。

スマートフォンは引き続き好調。スマートフォンの販売数は通期で252万台に上った。第3四半期までの累計で126万だったので、第4四半期だけで年間の半分を販売するビッグセールスになった計算だ。通期の総販売台数は前期比5.6%増の1906万台で、スマートフォンの比率は13.2%に上った。携帯電話全体の通期での契約純増数は193万であり、スマートフォンの好調な販売が純増を支えた結果となった。

減収ながら10年連続の増益を確保--KDDI

KDDIの決算数値を見ると、営業収益は前期比0.2%と微減の3兆4345億円だった。そうした状況の中、営業利益は4719億円となり、前期比6.3%と大きな増加を果たした。KDDIでは10期連続の増益決算を達成したとしている。移動通信事業の営業利益は4389億円で前期比9.3%の減少となった半面、固定通信事業で前期の赤字だった数字を682億円も上回る240億円の利益をたたき出したことが大きく増益に貢献している。

出遅れた感もあったスマートフォンは、本格投入以降の販売が好調に推移しているようだ。スマートフォンの販売台数は109万台。端末販売台数比率にすると約9%に達する。この台数や比率はISシリーズ全体のものだが、実質的には2010年11月にIS03が提供されてからの数字が大半を占めると見られる。NTTドコモには及ばないまでも、IS03の発売以降4カ月で100万台規模のスマートフォンの販売を達成した計算になる。スマートフォンに機種変更したユーザーのデータARPUは約1600円も上昇しているということも考えると、今後の市場のスマートフォンシフトが業績改善の追い風になりそうだ。

売上3兆、営業利益6000億円超の巨大企業に--ソフトバンク

ソフトバンクの当期決算のトピックは、営業収益が初めて3兆円を超えて3兆46億円(前期比8.7%増)となったことと、営業利益が6000億円を超えて6291億円(同35.1%増)となったこと。ソフトバンクによれば、営業利益はNTT、NTTドコモに次ぐ国内第3位にランクされ、本田技研工業やトヨタ自動車、日産自動車などを抜き去ったという。中でも大黒柱の移動体通信事業が好調で、営業収益は1兆9445億5100万円と前期比14.3%増、営業利益は4024億1100万円の同54.2%増となった。

通期の携帯電話端末の販売台数は約1024万台(前期比約110万台増)、純増数は約353万台と大きな伸びを見せている。iPhoneの販売が引き続き好調であったことに加え、通信モジュールなどの販売が拡大したことを理由に挙げている。しかしスマートフォンの急速な普及は諸刃の剣になりうる。iPhoneは単体の銘柄としては圧倒的であっても、Androidのラインアップ全体を相手にするとすでに圧勝とは言えない。他社が一層の構成をかけてくる2011年度以降の成り行きに注目したい。

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ドコモもデータARPUが音声ARPUを抜く

1契約当たりの売上を示すARPUのデータでは、音声が減少し、データが増加するという全体の傾向に変化はなかった。そうした中で、NTTドコモもデータARPUが音声ARPUを上回る実績を残した。

▼2011年3月期のARPU推移
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総合ARPUは、NTTドコモが前期比280円の減少で5070円、KDDIが同470円の減少で4940円、一方ソフトバンクだけは同140円の増加を果たし4210円となった。音声ARPUはNTTドコモが2530円(前期比370円減)、KDDIが2620円(同530円減)、ソフトバンクが1890円(同160円減)となり、3社そろって減少した。

データARPUに目を転じると、こちらは3社とも増加。NTTドコモは2540円(同90円増)、KDDIは2320円(同60円増)、ソフトバンクは2310円(同290円増)との結果だ。NTTドコモでは、データARPUが2540円になったのに対して、音声ARPUは減少して2530円となった。ソフトバンクではすでにデータARPUが音声ARPUを上まわっているが、NTTドコモでもデータARPUが逆転することになった。

【発表資料】
2010年度決算および2011年度の取組み(PDF)
「2011年3月期決算」および「KDDIグループの中期的事業方向性」(PDF)
2011年3月期 決算説明会(PDF)

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。