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Wi-Fiで車載システムにソフトをインストールするFordの工場

2010.08.30

Updated by WirelessWire News編集部 on August 30, 2010, 12:30 pm UTC

自動車メーカーのFordの工場(カナダのオンタリオ州Oakville)で製造される2011年モデルのEdgeとLincoln MKXの生産ラインに、業界で初めてWi-Fi技術が導入される。工場のラインにWi-Fi送信機を置き、自動車の車内の受信機で、さまざまなソフトウェアをダウンロードしててインストールし、出荷する計画だ。

例えば同じEdgeでもアメリカ市場向けにはFordの911緊急支援パッケージが実装され、カナダ国内向けにはフランス語オプションやカナダの道路情報が実装されてから出荷されるといったように、同じ車種でも販売する市場によって自動車電話やエンタテイメントなどが異なっている。カーラジオの周波数も地域によって異なるから、これを1台ずつ人海戦術で設定していてはとても効率的な生産はできない。

ラジオや電話のカスタマイズは最初の一歩に過ぎない。この生産手法を突き詰めれば、多くの部品を共通化し、生産は標準化して、複雑性を排し、コストを劇的に下げるのと同時に、電動パワーシートを好みの設定にするとか、ギアの入るスピードを購入者の好みに応じて変えるといったことが、工場でできてしまう。

カスタマイズ要求に可能な限り応えて、注文生産して出荷するという、かつてDellがパソコンでやったことを、Fordは自動車でやろうとしているようだ。搭載するモジュールの種類が減れば、量産効果によるコスト削減、工程標準化による品質向上など、副次的な効果がいろいろと期待できる。

Fordは2007年以来、Microsoftとの連携を深めており、車載システムSyncを共同開発。今年3月にはSync搭載車の出荷が200万台に達している。Syncは音声コマンドで制御でき、100ほどのコマンドを音声認識できたが、今年7月にはNuanceとの協業でコマンド数は1万にまで増えている。Microsoftとの協業も順調で、最近では家庭内充電効率化でも協力しているし、Sync搭載200万台目はMicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏に届けられたようだ。

2011年モデルのEdgeとLincoln MKXに搭載されるSyncシステムにはメールの読み上げ機能や、「Do Not Disturb」機能も追加される。「Do Not Disturb」ボタンを押しておくと、走行中にはメールや電話の着信を知らせないことで運転の安全を高める機能だ。運転中のテキストメッセージで事故が多発し、罰金などで規制する動きを見せる州の多いアメリカでは歓迎される機能なのかもしれない。

車載のWi-Fi機器は、そもそもは当然ながら車に乗る人のラップトップやスマートフォン向けの車内ホットスポットとして構想されたもので、それが工場のアセンブリーラインで活用されるとは予想されていなかったらしい。Fordはここ数年、コミュニケーション技術による差異化に資源を積極的に投入しているようだが、組み立て工場のラインにまで応用したということで、WSJなどアメリカのメディアの注目を集めている。

【参照情報】
Ford plant to fit SUVs with Wi-Fi (CHICAGO SUN-TIMES)
Ford Uses Wi-Fi to Customize Cars (WSJ.com)
『Ford SYNC』搭載車が200万台突破 (japan.internet.com)
MicrosoftとFord、電気自動車の家庭内充電効率化で協力 (ITpro)
Ford, Nuance make Sync more conversationa (ZDNet)
Ford Sync's "Do Not Disturb" Feature Can Block Calls And Texts While Driving (GIZMODO)
ミシガン州、マサチューセッツ州、運転中のテキストメッセージに罰金

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