アラブ首長国連邦（UAE）政府当局は現地時間8日、BlackBerryのメーカーであるカナダのリサーチ・イン・モーション（Reseach In Motion：以下、RIM）と合意に至り、事前に通告していた同端末の利用禁止措置の実施を停止したと、同政府のウェブサイトで発表した。

UAE政府は、高度な暗号化技術をもつBlackBerryがテロやその他の非合法活動に利用されることへの懸念から、同端末のユーザーが送受信するメッセージを監視できるようにすることをRIMに求め、この要求が認められない場合には、10月11日からBlackBerryの利用禁止措置に踏み切ると述べていた。

今回の利用禁止措置の実施見送りについて、UAEの通信当局はRIMが同政府が要求していた枠組みに従ったためとしている。これにより、同国内では今後もBlackBerryのすべてのサービスがこれまで通り利用可能になる。

両者がどのような内容で合意に至ったかについて詳細はわかっていないが、UAE通信当局はRIMが同政府の要求に対して前向きな条件を示したと述べている。ただし、この合意によって同政府がBlackBerryユーザーの送受信するメッセージを監視する許可を得たかについては触れていない。

一方で、RIMは両者の合意に関して、同社が8月12日に出した「RIMは特定の国家に対して特別な扱いをしない」という声明の原則に従ったと述べている。

この合意に関しては、BlackBerryの利用禁止が同国の経済に与える悪影響をUAE政府当局が考慮した結果であると見る向きもある。専門家らは「ビジネスの中心地」というドバイのイメージを傷つけまいとする同政府の思惑もあると見ている。

なお、UAEと同様の懸念からサウジアラビアとインドでもBlackBerryの利用禁止措置が検討されていたが、RIMとの話し合いによって、サウジアラビアでは禁止措置は解除され、インドでは2ヶ月間の期限延長となっていた。

【参照情報】
・U.A.E. Halts Plan to Ban BlackBerry - New York Times
・RIM Accord in U.A.E. Averts BlackBerry Suspension - BusinessWeek
・UAE says BlackBerry dispute resolved before deadline - Reuters