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[2011年第17〜18週]ノキア シーメンスのモトローラ買収が完了、白のiPhone 4とiPad 2が国内でも発売

2011.05.09

Updated by Naohisa Iwamoto on May 9, 2011, 12:00 pm JST

大型連休直前からの2週間は、国内に閉じた大きな動きがやや少なくなり、グローバルに関連した話題が目立った。ノキア シーメンス ネットワークによるモトローラの通信部門の買収が完了したほか、iPhone 4やiPad 2といったアップル関連の動き、ソニーやNECカシオのグローバル展開などに注目したい。

買収、提携--業界の構図が着々と塗り替えられる

ノキア シーメンス ネットワークス(以下ノキア シーメンス)とモトローラソリューションズは共同で、ノキアシーメンスがモトローラソリューションズのネットワーク資産買い取りを完了したことを発表した。2011年4月30日付で、モトローラソリューションズのGSM、CDMA、WCDMA、WiMAX、LTEの各関連事業の52カ国・50社の顧客を、ノキア シーメンス社が引き継ぐ。従業員も全世界で6900名が移籍する。今回の買収によって、特に北米と日本における同社の地位が強化される(関連記事:ノキアシーメンス、モトローラソリューションズの通信機器部門買収を完了)。

国内ではディー・エヌ・エー(DeNA)とNTTドコモの業務提携が発表された。内外のソーシャルゲーム事業に関する業務提携で、まずドコモのiモード端末およびスマートフォンの双方の利用者を対象に5月下旬から両社のサービス連係を開始する。DeNAはドコモのiモード端末およびスマートフォン利用者限定で人気タイトルの先行配信などを行う「Mobage for ドコモ」を用意する。一方、ドコモはiメニューおよびスマートフォン版のドコモマーケットで、「Mobage」への導線を用意して誘導を図る(関連記事:DeNAとドコモが提携、Mobageのコンテンツ先行配信や限定イベントも)。

やっと発売、白いiPhone 4と国内向けiPad 2

201105091200-1.jpg国内では連休直前となる4月28日、アップルが2つの目玉製品を国内でも発売した。1つは発売の延期が繰り返されていたiPhone 4のホワイトモデル。国内では、アップル直営店のApple Store、ソフトバンクショップ、ソフトバンクオンラインショップ、iPhone取扱店で順次発売する。日本以外の欧米主要国などでも同日に販売を開始し、全世界でホワイトモデルを待っていたユーザーの要望にようやく応えられた(関連記事:アップル、iPhone 4のホワイトモデルを日米欧などで4月28日に発売)。

ホワイトモデルの投入がブラックモデル発売から10カ月以上も遅れたことについて、「とても苦労した」とする同社幹部の裏話も伝わってきている(関連記事:「iPhone 4 ホワイトモデルの開発に手こずった理由」- アップル幹部の裏話)。

アップルのタブレット端末「iPad 2」も同じく4月28日に国内で発売された。当初3月25日の発売を予定していたが、東日本大震災の影響などがあり、延期されていた。Wi-Fi+3Gには「iPad 2 for everybody」と名付けたキャンペーンを2011年9月30日まで実施する。キャンペーン期間中は、一括支払いだと5万6640円かかるiPad 2 Wi-Fi+3G(16GB)が、毎月2360円を通信料金から割り引くことで実質的に0円で手に入る(関連記事:ソフトバンクモバイル、4月28日9時にiPad 2を発売、実質負担0円から)。

iPad 2の通信環境を整えるサービスの発表もあった。日本通信は、iPad 2で快適に通信するためのSIM製品などを続けて発表した。1つがSIMロックフリーのiPad 2で利用するためのプリペイド型データ通信サービス「b-mobile Fare」のmicroSIM版。もう1つが、Wi-Fi版のiPad 2での利用を想定した、モバイルWi-Fiルーターとb-mobile Fareのセット商品である。(関連記事:日本通信、iPad 2での利用を想定したmicroSIMとモバイルルーターを発表)。

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グローバル端末や次世代データ通信用端末も発表

201105091200-2.jpgソニーは、Android 3.0をOSに採用するタブレット端末「Sony Tablet」を発表した。発表したのはコードネーム「S1」と同「S2」の2機種。全世界で、2011年秋以降に順次販売を開始する。「S1」は、リッチメディアエンタテインメントを提供するマシン。9.4型の大型ディスプレイを搭載し、Webブラウジングをしたり、様々なコンテンツを楽しんだりできる。デザインでも工夫を凝らしてある。「S2」は、モバイルコミュニケーションエンタテインメントを提供するマシンとの位置付け。折りたたみ式のボディーには5.5型のディスプレイをダブルで搭載し、小型化と大画面の双方のメリットを得られる(関連記事:ソニー、Androidタブレット端末市場に参入、2機種を今秋から提供)。

カシオ計算機とNECカシオモバイルコミュニケーションズも、米国向けのAndroid端末の提供をアナウンスした。防水・耐衝撃性能を備えたAndroid端末「CASIO G'zOne COMMANDO」で、米ベライゾンワイヤレスが4月28日に発売した。傷付きにくく割れにくいガラスのCorning Gorillaをディスプレイに採用するほか、衝撃を吸収するバンパー構造を備えた本体で、米国国防総省規格(MIL-STD-810G) の防水・耐衝撃性能に準拠した(関連記事:タフネスAndroid端末「CASIO G'zOne COMMANDO」、米国で4月28日発売)。

ソニーもカシオも、自社の得意とする分野の機能をAndroid端末に盛り込むことで、標準的なAndroid端末とはひと味もふた味も違う製品を作り上げている。国内メーカーが進む1つの方向性を示しているといえそうだ。

国内向けの端末としてNTTドコモは、LTEサービスの「Xi」(クロッシィ)に対応する端末の第2弾となる「F-06C」を発売した。F-06CはExpressCard型のデータ通信カードで、対応するパソコンに挿してLTEの高速データ通信を利用できる。F-06CはXiの2機種目の端末で、2011年4月発売予定とアナウンスされていた。最終日でその公約を果たした(関連記事:NTTドコモ、Xiの第2弾端末「F-06C」を4月30日に発売)。

CDMA 1Xサービス終了、サービスの変遷も見える

KDDIは、800MHz帯周波数の切り替えに伴い「CDMA 1X」などのサービスを2012年7月22日をもって終了すると発表した。サービス終了の対象機種では、その後に通信サービスを使えなくなる。KDDIでは、対象機種を所有するユーザーに対して、機種変更手数料を無料にするほか、特別価格の機種を用意して機種変更を受け付けるとしている(関連記事:KDDI、周波数再編に伴いCDMA 1Xなどを来年7月22日をもってサービス終了)。

一方、クラウドサービスに関連するキャンペーンの延長の話題もあった。NTTドコモは、ドコモスマートフォンを購入したユーザーに対して提供している「DOCOMO×Evernoteプレミアムキャンペーン」の期間を、1年間延長すると発表した。2012年4月30日まで申し込みが可能になる(関連記事:NTTドコモ、Evernoteをプレミアム会員で使えるキャンペーンを1年間延長)。

201105091200-3.jpgまた、iPhoneやiPadが企業の業務利用端末として利用されることが増えてきたことを受けたサービスも提供される。ソフトバンクテレコムが提供する「ソフトバンクテレコム ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント」(以下、デバイスマネジメント)がそれ。5月9日から申し込み受付を開始する。iPhoneやiPadを業務端末として利用する際に、管理者側からiPhone/iPadを一元管理できるサービスである。サービスを利用することで、管理者側の業務負担を軽減できるほか、社員に求められる設定作業の手間も削減可能になる(関連記事:ソフトバンクテレコム、業務用iPhone/iPadの一元管理サービスを提供)。

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スマートフォンを様々な側面で利用する試み

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クラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ」は、東京だけでなく各地で開催されるイベントになった。その1つが石川県金沢市を中心とした「ラ・フォル・ジュルネ金沢」。そこでは、AR(拡張現実感)とツイッターを組み合わせて利用するスマートフォンアプリを提供し、音楽祭をリアルだけでなくスマートフォンの世界でも重層的に楽しめるようにする試みがなされた。アプリを起動すると、カメラで映した周囲の画像に重ねたエアタグとして、ツイッターのつぶやきが音符のような形で表示される(関連記事:ラ・フォル・ジュルネ金沢、ARとツイッターを利用したアプリで音楽祭をさらに楽しむ試み)。

Androidアプリのアワードの発表もあった。4月25日に発表された「Android Application Award 2010-11 Winter」(日経BP社主催)では、米国・スペクトラムビジョン社の「Voice4u JP」が大賞を受賞した。Voice4u JPは、自閉症など言葉を使って自分の考えを伝えることが難しい人が、絵を使ったコミュニケーションを、iPhone、iPod Touch、iPad、Android端末を利用してできるようにするためのAAC(拡大・代替コミュニケーション)ツール。現在、日本語と英語に対応している(関連記事:スマートフォンをAACツールにする「Voice4u JP」がA3 2010-11 Winter大賞を受賞)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。