今年秋の発表・発売が予想されているアップル（Apple）の「iPhone 5」に関して、また新しい情報がウェブ上を賑わせている。

フランス・テレコム（France Telecom）やドイツ・テレコム（Deutsche Telekom）などの動きから、10月半ばの発売が濃厚になっている「iPhone 5」だが、中国の地方紙Southern Metropolis Dailyによれば、中国携帯通信市場3位のチャイナ・テレコム（China Telecom）が10月に予定される同製品の発売にあわせて巨額の費用を投じたマーケティング・キャンペーンを開始すると、GigaOMやTNWなど複数のブログが伝えている。

チャイナ・テレコムは、iPhone 5のリリースにあわせて、「ドラゴンプラン」と呼ばれる大型マーケティング・キャンペーンを予定。総額15億元（約2億3400万米ドル）を投じるこのキャンペーンの開始に向けて、同社ではすでに各店舗での従業員トレーニングや、店舗内での広告設置などの準備を進めているという。

チャイナ・テレコムでは、これに先だって9月末にもiPhone 5の予約受付を開始をするとの可能性も指摘されているが、9to5Macブログによるとこのタイミングは先ごろ噂が出ていた米国での予約開始日（9月30日）と一致するという。

チャイナ・テレコムのワン・シャオチュー（Wang Xiaochu）会長は、8月に同社がiPhone 5の販売奨励のために補助金を出すことも認めており、同社は年内に100万台以上の販売台数を見込んでいるという。いっぽうのアップルは同端末を組み立てるフォックスコン（Foxconn)に対し、iPhone 5の生産台数を1日あたり15万台まで引き上げるよう指示したと伝えられているが、この目標が達成できれば発売当初の需要を満たすのに十分な500〜600万台を準備できることになるという。

チャイナ・テレコムは現在1億800万人の加入者がおり、CDMA方式のネットワークを採用する携帯通信事業者としては米国のベライゾン・ワイアレス（Verizon Wireless）を抜いて世界最大となっており、同社からのiPhone発売はアップルにとってもさらに販売台数を拡大する大きな要因になると見込まれている。なお、iPhone 5はCDMA（CDMA 2000）ならびにGSM（WCDMA）方式の両方に対応可能なデュアル・モードを採用するとの予想も一部で出ている。

さらに、中国市場ではこれまで加入者数で2位のチャイナ・ユニコム（China Unicom）のみがiPhoneを取り扱ってきているが、iPhone 5では新たにチャイナ・テレコムに加えて加入者数1位で6億人以上の加入者数を誇るチャイナ・モバイル（China Mobile）も取り扱いをはじめるとの見方も出ている。中国（本土、香港、台湾）はアップルが現在もっとも成長を期待できる市場として注力しているエリアであり、通信大手3社でのiPhone取り扱いが実現できれば同社にとって大きな追い風になる可能性が高い。

なお、iPhone 5の発売日については、先ごろフランス・テレコムのステファン・リシャール（Stephane Richard）CEOが「10月15日になると聞いている」との発言をしていたという。また米国のスプリント・ネクステル（Sprint Nextel）が
新たにiPhoneの取り扱いをはじめる可能性が伝えられた際にも、発売時期を「10月半ば」とする予想が出されていた。

ちなみに9to5Macブログによると、今回の話の出所であるSouthern Metropolis Dailyという新聞は、、広東州や香港・マカオなど中国南部で流通する日刊のタブロイド紙で、売りものとする挑発的な調査報道が原因で当局との軋轢が生じることもよくある媒体だという。

【参照情報】
・China Telecom reportedly advertises iPhone 5, will accept orders from end of September - TNW
・China Telecom's "Dragon Plan": $235 million in marketing expenses for splashy iPhone 5 launch in October - 9to5Mac
・China Telecom latest to back an October iPhone 5 launch date - GigaOM
・China Telecom says still in talks with Apple on iPhone -
Reuters
・【図・グラフ】中国3Gサービス加入者の「指数関数的な増加」
・チャイナ・テレコム、CDMA版iPhoneを年内発売へ（Reuters報道）
・チャイナ・モバイル会長：「アップルのスティーブ・ジョブズCEOと、TD-SCDMA版iPhoneについて協議」
・iPhone 5、米ではスプリントも取り扱いへ - 発売時期は10月半ばか（WSJ報道）
・［Pickup］「4G/LTE版iPhone」の可能性をおさらいしてみる（編集担当メモ）

アップルが米携帯通信市場第3位のスプリント・ネクステルに対し、iPhoneを供給することになりそうだという記事はこちら

アップルでは、さらなる販路拡大に向けた準備が着々と進んでいるようだ。

iPhone 5、米ではスプリントも取り扱いへ - 発売時期は10月半ばか（WSJ報道）