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営業利益でマイクロソフト全体を追い越したアップルiOS製品 - Asymco

2011.10.04

Updated by on October 4, 2011, 15:40 pm JST

前回の記事では、マイクロソフト(Microsoft)とアップル(Apple)の業績について、過去4年間の売上(「トップライン」)を比較してみた。そこで今回は両社の「ボトムライン」の推移を比較してみたいと思う。

先に一点確認しておくと、私が「ボトムライン」の比較に用いるのは両社の営業利益("operating income")である。企業の収益性を比較するのに営業利益を用いるのはよくあることだが、これは営業利益からは税や利子の支払い額が除外されているという理由による。これらの営業外損益の項目を含んだ数字では、企業の投資活動や税法上の変更による損益が紛れ込んだり、あるいは法人登記している場所の違いによって差が生じることなどがあり、正しい業績比較をすることが難しくなる。企業の(本業の)業績を比較する際には、営業外損益を含んだ数字は用いるべきではない。

企業業績の比較にあたってはもうひとつ難しい点がある。それは、事業部ごとの営業利益を公表するかどうかが会社によってまちまちという点に由来するもので、普通は業績比較というと企業全体の営業利益を比べるものだが、事業部や製品ラインごとの比較をすることはあまりない。今回の分析で、私はこの課題を克服しようと考えている。そのために、非常に異なる2つの事業モデルを比べてみることにする。

最初のグラフは、マイクロソフトの営業利益について部門ごとの推移を示したもの(同社発表の数字を利用)。

201110041541.png
[マイクロソフト - 事業部門ごとの営業利益推移(2007FQ1-2011FQ4)/縦軸の単位は100万ドル]

赤(Officeなどを扱うビジネス事業部)、緑(サーバおよびツール類を扱う事業部)、青(Windows OSならびにWindows Liveを扱う事業部)、紫(エンターテインメントおよび端末事業部)、橙(オンラインサービス事業部)などで塗り分けられた部分が、それぞれの営業利益を示している。一部の部門では数字がマイナス(赤字)になっている点に注意。また全体の営業利益の変化を示すために青い棒線を加えてある。

この追加した青線をそのままアップルのグラフに被せたものが下のチャート。マイクロソフトの青線に対し、アップル全体の営業利益はオレンジの棒線で示してある。

201110041542.png
[アップル - 製品ラインごとの営業利益推移(2007FQ3-2011FQ2)/縦軸の単位は100万ドル]

それぞれの営業利益全体の変化には議論の余地はない。その一方で、オレンジ線の下に描かれた各色の割合(アップルの製品やサービスごとの数字)については議論の余地があるかも知れない。

これはアップルが各製品ラインや部門ごとの数字を発表していないためで、この値を割り出すには分析と推測の作業が求められる。私が使った算出方法は、製品ラインごとの粗利を推定した上で(全体の粗利はわかっている)、それぞれの製品ラインの売上比に応じてOPEX(Operating Expense:営業経費)を割当てるというもの。

次に、両社の比較をよりわかりやすくするため、マイクロソフトの事業部門ごとの営業利益ならびにアップルの製品ラインごとの営業利益をばらばらに並べ直してみたのが下のグラフ。全社レベルの活動("Corporate Level Activity")によるものについては、各部門または製品ラインの売上に応じた比率でそれぞれに経費として配分してある。こうすることで、両社の製品ごとの営業利益を比較することが可能になる。

201110041543.png
[アップル、マイクロソフトの製品ラインごとの営業利益比較]

最後に、iOS製品(iPhone、iPad、iPod touch)の営業利益を合算した数字(橙線)と、マイクロソフト全体の営業利益(青線)を並べたのが下のグラフ。

201110041544.png

2番目に示したグラフからは、昨年末の時点でアップル全体の営業利益がマイクロソフトのそれを追い越していたことがわかる。そして最後のグラフからは、アップルがiOS製品から得ている営業利益が、マイクロソフト全体の営業利益よりも多くなっていることが見てとれる。

マイクロソフトは、ソフトウェアをビジネスにする方法を編み出し、それで生み出した事業を2000年までに世界で最も価値のあるビジネスに育て上げた。この事業はいまでも成長を続けており、誕生から35年を経て年間270億ドルの利益を生み出すようになっている。しかもこの間に、マイクロソフトのソフトウェア事業は途方もない利益率を維持し続け、世界がそれまで目にしたこともなかったようなビジネスモデル、非常に破壊的な独占形態をとるビジネスモデル("a highly disruptive monopoly business model")を守り続けたのだった。

そうしたビジネスをたった4年間で追い抜くような端末関連の事業が生み出されたというのは、ほとんど信じがたいことである。

(執筆:Horace Dediu / 抄訳:三国大洋)

【原文】
iOS vs. Microsoft: Comparing the bottom lines

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