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インドで35ドルのタブレット端末発表 - 教育機関向けに、政府が肝いり

2011.10.07

Updated by WirelessWire News編集部 on October 7, 2011, 12:00 pm JST

インドで現地時間5日、「世界最安」を謳う低価格のタブレット端末が発売された。このタブレットは、米ドル換算で35ドルでまず教育機関向けに提供され、その後一般にも60ドル前後で販売される可能性があるという。

「空」と意味する「Aakash」と名付けられたこのタブレットは、Android OS(ver. 2.2)で動作し、バッテリー駆動時間は約3時間。7インチのタッチスクリーン、366MHzのプロセッサ、256MBのRAM、フラッシュメモリ内蔵2GBならびに2GBのマイクロSDカード、2つのUSBポートやビデオチャット機能なども搭載され、通信機能はWi-Fiのほかに3Gもオプションで提供される。

Aakashを開発したのはデータウィンド(DataWind)という英国企業とインド工科大学(Indian Institute of Technology:インドでも最難関といわれ、国際的に研究水準の高さでも知られる国立の高等教育研究機関)。同国政府で当初10万台の購入を計画しており、今後数年間にあわせて1000万台程度を学生に配布していきたい考えだという。

デリーで開かれた発表会に出席したカピル・シバル(Kapil Sibal)人材開発担当相は、実験導入に参加する学生500人に同端末を手渡したが、同氏は「豊かな人々にはデジタル情報へのアクセス手段があるが、貧しい人々や普通の国民にはまだその手段がない。このデジタル・デバイドの克服にAakashが役立つ」と語ったという。

インドは、インターネットや携帯電話の普及率で、他のBRIC諸国 -- ブラジル、ロシア、中国に遅れをとっている。同国のインターネット人口は2010年に15倍増を記録したものの、国民全体の普及率は8%にとどまり、中国(40%)などとは大きな開きがある。また、月ごとの新規加入者数が1000万人単位と爆発的な増加を続けている携帯電話についても、その大部分が都市部の富裕層によるものだという。

専門家のなかには、地方での教育 -- とくに図書館などの整備が遅れ、最新の情報も行き渡りにくい農村での学校教育に、Aakashが大きな変革をもたらすとの期待の声もあるという。

ただし、安価なタブレット端末について懸念を示す見方もあり、タッチスクリーンの質の低さや、処理速度の遅さなどから、結局使い物にならないのではとの声も上がっている。さらに同政府が2009年に発表した「10ドルラップトップ」が計画倒れに終わっていることから、今回も同様の結果になることを危惧する声も聞かれるという。

【参照情報】
India launches Aakash tablet computer priced at $35 - BBC
India launches "world's cheapest" tablet computer - Reuters
India Elated Over '$35' Aakash Tablet - WSJ
[Pickup]クアルコムはインドで何をやろうとしているのか - Businessweek特集記事から

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