リサーチ・イン・モーション（Research In Motion：以下、RIM）のメッセージングサービスが、今週はじめから一部の地域で使えない状態となっるている件で、同社は米国時間12日、緊急の電話会議を行い、現状の報告などを行った。いまのところ復旧のメドは立っていないという。

欧州からはじまったこのサービス障害は、中近東・北アフリカ、アジア、南米などに拡大、3日目の12日には北米市場の一部にまで拡がっているという。これらの地域のBlackBerryユーザーは、電子メール、インスタントメッセージ（IM）、ウェブブラウザーなどが断続的に使えなくなる状態が続いているとWSJでは伝えている。

12日に行った電話会議のなかで、RIMのデビッド・ヤク（David Yach）CTOは、障害の発生原因について、欧州におかれたコアスイッチの故障によるものとし、さらにこれをカバーするはずの冗長化システムも作動しなかったためその影響が拡大したと説明したという。

政府や金融関連などの分野で働く人々の間で根強い人気をもつとされるBlackBerryは、その分他社の製品・サービスよりも余計にサービス障害の影響に敏感なユーザーも多く含まれるとされる。AT&T法人向けサービス部門のアビー・イングル（Abhi Ingle）VPは、WSJに対し、「わずかな障害でも、気がつくユーザーがいる。（一刻も早い復旧に向けた）同社に対する期待はいま非常に高い」とコメントしている。

さらに、RIMではしばらく前からスマートフォン市場でのシェア低下や、新機種投入の遅れ、タブレット端末の売れ行き不振などが重なり、業績低迷や株価下落が続いていることから、RIMの経営陣に対する風当たりも強まっている。Reutersでは、危機管理専門のコンサルティング会社を経営するリチャード・レビック（Richard Levick）氏の「RIMの取締役会は明らかに、いますぐ断固たる行動に出る必要がある。同社にはDNAをすべて入れ替える必要がある。市場のトップ企業だった過去の意識を捨て、新たにベンチャー企業のような考えで行動しなくてはならない」というコメントが紹介されている。また今回の出来事が、クライアント企業の流出につながる可能性があるとする野村證券アナリスト、リチャード・ウィンザー（Richard Windsor）氏の見方も紹介されている。

さらに、前日にはRIMの大株主のひとつであるカナダのジャガーフィナンシャル（Jaguar Financial Corp.）が、RIMに経営陣の入れ替えと大規模な組織再編を求める同社の呼びかけに賛同する株主が、全体の少なくとも8%に達していると述べていた。

こうしたこともあり、今回のサービス障害復旧への対応ぶり次第では、長年にわたって共同CEO兼会長の職を2人で務めてきたマイク・ラザリディス（Mike Lazaridis）、ジム・バルシリエ(Jim Balsillie)両氏の更迭につながる可能性も考えられる。

【参照情報】
・RIM Still Doesn't Know When BlackBerry Service Will Be Restored - AllThingsD
・BlackBerry Services Hit by More Disruptions - WSJ
・http://www.bloomberg.com/news/2011-10-12/blackberry-maker-rim-still-clearing-data-backlog-vodafone-says.html - Bloomberg
・BlackBerry outages spread to North America - Reuters
・BlackBerry users revolt against RIM as disruption spreads - Guardian
・Jaguar says support grows for a RIM shake-up - Reuters
・RIM株価急上昇 - 「アイカーンが来るぞ」で思惑買いか
・RIM、6-8月期決算 - 利益59%減少、「Playbook」販売台数は20万台にとどまる
・RIM、大規模リストラ策を発表 - 従業員の10%以上を削減へ