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アップルにケンカを売る豪小売業者 - サムスン「Galaxy Tab」販売差し止めに反旗

2011.11.09

Updated by WirelessWire News編集部 on November 9, 2011, 15:15 pm JST

オーストラリアで販売差し止め命令が下されたサムスン製Android端末「Galaxy Tab 10.1」を、「抜け道」的手段をつかって売ろうしている小売業者の話がSydney Morning Herald紙(SMH)で採り上げられている。

これらの業者は豪司法当局の権限が及ばない国外に法人を新設し、その法人にeコマース用ウェブサーバを運営させるという形で、豪消費者からの注文を受け付けているという。たとえば、dMavoというオンライン小売業者では、このために欧州で法人を登記、また注文受け付け用のサーバをわざわざ国外で用意したと、同社マネージング・ディレクターのウォテク・ツァルノキー(Wojtek Czarnocki)氏はSMHに語っている。

こうした業者に対しては、アップルから「法的手段の行使も辞さない」という警告が送られているというが、それに対してツァルノキー氏は「(裁判所に)訴えるというのは、アップルのハッタリだろう」とし、「アップルがほんとうにわれわれの邪魔をしたいというのであれば、受けて立つ用意がある」とコメントしている。

SMHからGalaxy Tabの受注状況について訊ねられた同氏は、「われわれはすでに注文数を数えるのを止めてしまっている。嘘ではない。サーバが落ちるほど注文が殺到したことが何度もあった」と答え、具体的な数字などは明かしていない。

こうした小売業者のやり方について、ウォーターマーク(Watermark)というメルボルンの法律事務所に所属するマーク・サマーフィールド(Summerfield)弁護士は、「たとえ国外の法人やサーバーをつかったとしても、法的責任を問われる可能性がなくなるわけではない。特許侵害とされた製品をオーストラリア国内の輸入したり、同国内の居住者に販売したりすれば、やはり特許侵害にあたると判断される」とコメント。さらに、「dMavoが公然と、裁判所の判断やアップルからの警告を無視しようとしていることから、同社の抱えるリスクはかなり大きくなっている」との見方を述べている。

いっぽう、同氏によれば、アップルが豪で認められた販売差し止め命令を根拠に、これらの業者を豪国外の法廷で訴えることは比較的簡単だという。ただし、アップルが個別に訴えを起こさない限り、実際に国外で差し止め命令を執行させることは難しいとも述べている。

なお、アップルがこれらの業者に対する訴訟を起こした場合に、業者側が法廷への出頭を拒んだり、あるいは裁判所の命令を無視したりすれば、損害賠償や訴訟費用の負担を命じられる可能性がある。実際に豪では昨年6月、特許および商標の侵害に関して連邦法廷が下した差し止め命令を無視した3人の被告に対し、最長で3年の懲役が言い渡された例もあると、サマーフィールド弁護士は説明。「会社役員の場合、会社の行った判断について個人的に責任を問われる可能性もある」と同弁護士はコメントしている。

【参照情報】
Defiant retailer gives Apple the finger - Sydney Morning Herald
Australian Galaxy Tab retailers call Apple's "bluff," ready for a fight - GigaOM
Australian retailer moves operations outside court's jurisdiction, won't bow down to Apple - 9to5 Google
dMavo
豪法廷、アップルの要請を却下 - 「Galaxy Tab」販売仮差し止めの適用範囲拡大はならず
豪法廷「Galaxy Tab 10.1」販売差し止め判定の影響について(編集担当メモ)
アップルが和解案を拒否、サムスンは製品投入断念の可能性も - 豪での特許訴訟

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