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米司法省、アップルと欧米の大手出版社に警告 - 電子書籍の流通で提訴の構え

2012.03.09

Updated by WirelessWire News編集部 on March 9, 2012, 11:51 am UTC

米司法省が、電子書籍の価格を不当に吊り上げたとして、アップル(Apple)と欧米の大手出版社5社を提訴する姿勢を示していると、WSJが米国時間8日に伝えた。

提訴の対象となっているはアップルのほか、CBSグループ傘下のサイモン&シュスター(Simon & Schuster Inc)、仏ラガルデール(Lagardere)傘下のハチェット(Hachette Book Group)、英ピアソン(Pearson)傘下のペンギン(Penguin Group)、独ゲオルク・フォン・ホルツブリンク(Georg von Holtzbrinck)傘下のマクミラン(Macmillan)、豪ニューズ・コープ(News Corp)傘下のハーパーコリンズ(HarperCollins Publishers)の5社の出版社。このうち、いくつかの出版社では訴訟による損害をさけるため、和解に向けて協議中だという。

この訴訟は、2010年にアップルが「iPad」を売り出す際、電子書籍の流通に関し、「エージェンシー・モデル」という新たな方法を出版社側に提案したことに端を発するもの。それまでアマゾン(Amazon)のような小売業者は「ホールセール・モデル」を採用していたが、この仕組みでは小売業者側が自由に小売価格を設定することが可能だった。

ただし、アマゾンは電子書籍端末「Kindle」の売り上げを伸ばすために、電子書籍を9ドル99セントといった紙の書籍よりかなり安い値段で販売したため、出版社側からは不満の声が上がっていた。

この点に目をつけたアップルは、「iBooks」に対応する電子書籍の取り扱いに関し、出版社に「エージェンシー・モデル」の採用を提案。この仕組みでは、出版社側が書籍の小売値を決め、アップルは販売価格の30%を手数料として得ることになっていた。また出版社に対して、アップルと取り決めた価格よりも安い価格で競合他社に書籍を卸すことを禁じる条項も含まれていた。

米司法省ではこの「エージェンシー・モデル」が独禁法に抵触する疑いがあるとして、アップルと出版社を提訴するための準備を進めているという。また欧州委員会(European Commission)でも、この問題に関して調査を進めていることが伝えられていた。

WSJでは、米司法省と一部の出版社との交渉が難航しているとした上で、が、妥協案として「エージェンシー・モデル」は維持しつつ、小売業者が独自の判断で割引販売できるようにするといった方法も挙がっているとしている。

なお、この話題を採り上げたGigaOMでは、最終的にどういう結果になるかはまだまったくわからないとした上で、出版社側がエージェンシー・モデルの修正を自発的に行うにしろ、あるいは米司法省から修正を迫られるにしろ、長期的に電子書籍の価格が下がる可能性が高いとの見方を示している。さらに、かつてビデオデッキやCDの普及に反対した映画・音楽会社が、結果的にそれらの普及によって新たな収入源を手にした例を引き合いに出しながら、出版社にもそれと同じような収益の機会がもたらされる可能性もあるとしている。

【参照情報】
U.S. Warns Apple, Publishers - WSJ
DoJ warning means one thing: E-book prices are coming down - GigaOM
Apple Downplays Role Of "Kindle Threat" In Alleged e-Book Conspiracy - paidContent

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