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アップル、iBooksをめぐって米司法省と対決の可能性

2012.04.11

Updated by WirelessWire News編集部 on April 11, 2012, 17:21 pm UTC

App Store - iBooks
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アップル(Apple)が電子書籍の販売に関して大手出版各社と結んだ契約をめぐって、米司法省(DOJ)から独占禁止法違反を理由に訴えられる可能性が具体化したと、BloombergやReutersが報じている。

この問題は、もともとアップルが「iBooks」のサービス開始にあたって、欧米の大手出版社と結んだ契約の中味に由来するもの。アップルはこの契約で、各出版社に「エージェンシー・モデル」(agency model)と呼ばれる形式での電子モデルの販売を認めさせた。このモデルでは、電子書籍タイトルの価格を出版者側が決定し、アップルやアマゾン(Amazon)などの小売業者が販売金額(小売上代)から一定の手数料を受け取ることになる。

それまでアマゾンなどでは、従来の紙(書籍)の商慣習を踏襲する形で、小売店側で価格を決定できる契約を出版社と結んでいた。その結果、アマゾンではKindle端末の普及を促進するため、電子書籍タイトルを仕入れ値よりも安い値段で販売することが可能になっていた。

ところが、アップルが初代iPadの投入に合わせてスタートしたiBooksへの商品提供に関し、大手5社の出版社ーーサイモン&シュースター(Simon & Schuster)、ハーパー・コリンズ(HarperCollins)、ハチェット(Hachette)、ペンギン(Penguin)、マクミラン(Macmillan)と結んだ契約には、自社のiBooksよりも有利な条件で他社に書籍タイトルを提供しないよう求める内容ーーいわゆる「最恵国待遇」を認める条項が含まれていた。そこで出版者側では、この契約内容を遵守するため、アマゾンなどとの契約についても代理人モデルに変更。その結果、アマゾンではそれ以前に見られた「新刊のハードカバーが9.99セント」といった例を見かけることがほとんどなくなったとされている。

この話題を報じたBloombergでは、米司法省が早ければ11日(米国時間)にも、アップルとマクミランを相手取った訴えを起こすとしている。いっぽう、サイモン&シュースター、ハチェット、ハーパーコリンズの3社は、法廷での争いをさけるべく、司法省と和解する方向で動きを進めているという。

出版社側にとっては代理店モデルへの変更は「一長一短」とされている。アマゾンがKindleを発売した当初、紙版に比べてはるかに安い値段で同じタイトルが売られることに懸念を示していた出版社側では、代理店モデルの採用により価格決定権を持てるようになったいっぽう、たとえば紙版と同じ価格で電子書籍を卸すといったことが難しくなり、実際の「実入り」は少なくなっているという報告も以前から出ていた。

Bloombergによると、米国の電子書籍市場は昨年、前年比117%の伸びを記録、売上も10億ドル弱(9億6990万ドル)まで成長(米国出版協会の推定)しているという。

【参照情報】
Apple, Macmillan Said to Prepare for U.S. E-Books Lawsuit - Bloomberg
DOJ may sue Apple over ebooks early as Wednesday: sources - Reuters
米司法省、アップルと欧米の大手出版社に警告 - 電子書籍の流通で提訴の構え
タブレットと電子書籍端末の保有者が1ヶ月で約2倍に(米調査)

米国の消費者のタブレット端末ならびに電子書籍端末の保有率に関する記事はこちら

昨年の年末商戦期には、アマゾン「Kindle Fire」やバーンズ&ノーブルの「Nook Book」といった低価格のタブレット端末が発売されたほか、両社の電子書籍端末の最新版も100ドル以下の価格で投入された。

タブレットと電子書籍端末の保有者が1ヶ月で約2倍に(米調査)

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