[2012年第19週]携帯4月純増で首位に肉薄、メーカーシェアは富士通
2012.05.14
Updated by Naohisa Iwamoto on May 14, 2012, 11:00 am JST
2012.05.14
Updated by Naohisa Iwamoto on May 14, 2012, 11:00 am JST
この週は、統計の発表がいくつかあった。4月の携帯電話純増数はソフトバンクモバイルが引き続き首位を守ったが、KDDIも追い上げが急だ。また大型連休以来、突風や竜巻、雷雨に見舞われ、通信サービスの利用者にも影響が出ている。
まず、毎月の携帯電話契約数の統計から。電気通信事業者協会(TCA)が発表した2012年4月の事業者別契約数では、携帯電話の純増数が首位で約27万のソフトバンクモバイルに、2位のKDDIが約24万とかなり接近する勢いを見せた。機能的にソフトバンクモバイルに追いついてきたiPhone 4Sの好調に加え、光回線との相乗効果を狙うauスマートバリューの効果も表れている。また、UQコミュニケーションズのWiMAXサービスも20万近い純増を記録している(関連記事:4月の携帯電話の契約数、KDDIがソフトバンクに接近)
2011年度の携帯電話の出荷統計を、MM総研が公表した。2011年度通期(11年4月〜12年3月)の国内携帯電話端末の総出荷台数は前年比13.5%増の4274万台。スマートフォン市場は前年度の2.8倍に上る2417万台にまで成長し、総出荷台数の56.6%を占めた。メーカー別出荷台数シェアでは、富士通が766万台(シェア17.9%)で首位を獲得した。2位はアップル、3位はシャープだった(報道発表資料:2011年度通期国内携帯電話端末出荷概況)。
利用者の状況を伝える調査結果もある。ネットマイルとモバイルマーケティング・ジャパンの調査で、スマホユーザーの約3割がフィーチャーフォンと2台持ちしていることがわかった。通話とメールはフィーチャーフォン、ネット検索やアプリ利用などはスマホと使い分けている実体が明らかになった。また、スマートフォンユーザーの35%は新しいスマートフォン製品が気になっていると回答しており、常に最新の端末が気になるような利用者像が浮かんでくる(報道発表資料:スマホユーザーの3割近くはフィーチャーフォン持ち35、%は既に新しいスマホに関心)。
===
スマートフォンへのシフトはすでに明白なものとなり、サービスも各種各様のものが登場している。ソフトバンクとPayPalは、合弁会社「PayPal Japan」を設立する計画と、グローバルモバイル決済ソリューション「PayPal Here」の日本導入を発表した。PayPal Hereは、スマートフォン(iPhone、Android端末)に挿すカードリーダーと無料のモバイル・アプリケーションを使って、クレジットカード、デビットカード、PayPalによる支払いを受け付けできるサービス。カードリーダーの実売価格は1200円程度(オープン価格)で、低コストの決済システム導入が可能になる(関連記事:ソフトバンクとPayPal、モバイル決済ソリューション「PayPal Here」を日本で展開)。
▼PayPal Hereのカードリーダー(報道発表資料より)
法人向けおnビジネスソリューションを拡充するのはKDDI。法人向けのクラウドサービス「ベーシックパック」に、2つのサービスを追加した。端末管理サービス「KDDI Smart Mobile Safety Manager」とリモートアクセスサービス「KDDI Flex Remote Access」である。ベーシックパックは、IDごとに月額390円を支払うことで複数のビジネスアプリケーションを利用できるクラウドサービスで、スマートフォンの法人利用の推進を目論む(関連記事:KDDI、法人向け「ベーシックパック」にリモートアクセスサービスなどを追加)。
個人向けのサービスでの動き。KDDIは、auのスマートフォン向けに提供している「LISMO unlimited powered by レコチョク」(以下、LISMO unlimited)のiPhoneアプリを提供開始した。iPhoneでも月額1480円の利用料金を支払えば、クラウドサービスで提供する100万曲を聞き放題で利用できるようになった。auのiPhone 4Sだけでなく、ソフトバンクモバイルが提供するiPhone、iPad、またiPod touchでも利用できる点がもう1つの特徴と言える(関連記事:KDDIの音楽聞き放題サービス「LISMO unlimited」がiPhoneに対応)。
===
その他の主なトピックを紹介する。ソニーモバイルコミュニケーションズは、LTEに対応したXperiaシリーズ新製品「Xperia GX」「Xperia SX」の2機種を日本市場に投入する。2機種はXperiaシリーズとしては国内で初めてLTEに対応し、下り最大75Mbpsの高速通信が可能。いずれも2012年夏以降に提供を予定している。提供する通信事業者は明らかにしていない。Xperia GXは約4.6インチの大画面高精細ディスプレイを搭載、Xperia SXは95g、9.4mmの薄型軽量のボディーを採用する(関連記事:ソニーモバイル、LTE対応でAndroid 4.0搭載のXperia2機種を日本市場に投入)。
▼ニュース&トピックス | ソニーモバイルコミュニケーションズ
先の突風に対する災害対応策も明らかになった。携帯電話事業者、PHS事業者各社は、茨城県および栃木県で発生した突風などによる被害を受けた利用者に支援措置を行う。災害救助法が適用された地域のユーザーを対象とし、通信料金などの支払い期限を延長するなどの措置を講じる(関連記事:携帯キャリアー各社、茨城県、栃木県の突風などの被害に対して支援措置)。
災害への備えのニュースも。ソフトバンクモバイルは、災害などで通信が途絶えているサービスエリアを復旧させるために気球を使った無線の中継システムを開発、実験を行う。実験は2013年6月まで、愛知県稲沢市の木曽川周辺で実施する。サービスエリアは郊外地で半径3km以上、親機と子機の中継距離は見通しで5km以上を確保する。今回の実証実験により得られたノウハウやデータを活用し、災害時の通信ネットワーク復旧に役立てたいとしている(関連記事:ソフトバンク、気球で無線中継する災害時対応システムを実験)。
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。