製品やサービスなどを開発する際に、インターネットを通じて低賃金(または無償)で手伝ってくれる参加者を全世界から募り作業を委託する形態、クラウドソーシングが注目を集める中、マラリアの診断にこの手法を適用する取り組みをUCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)がスタートさせた。
正規の訓練を受けていない一般の人々でも、大勢集めれば訓練を受けた専門の病理学者と同等の診断が下せるという仮説に基づき、医学部や工学部が共同でパソコンおよび携帯用のゲームを開発したというもの。子供でも遊べるようになっているという。
対象となるのはマラリアで、世界中で年間2億1,000万人が感染しているものの、専門家の診断は時間がかかる上、リソースに限りがある。感染していないのに感染していると誤診すれば、治療に要する薬品や医療従事者などを無駄に投じることになるため、感染を見落とすことと同様に非感染を見極めることが重要だという。専門家による診断は光学顕微鏡で細胞を目視し、マラリアの原因となる原虫を数えることで行われている。
ゲームに先立ち、プレイヤーは短いオンラインチュートリアルを受けてサンプル画像でマラリアに感染した赤血球がどのように見えるか説明を受ける。ゲームが始まると画面にたくさんのデジタルフレームが表示され、中に赤血球の画像が見えるので、プレイヤーは「注射器」ツールを使って感染した細胞を1つ1つ破壊していく。
全部やっつけたら残りの細胞は「健康」と見なすのだが、プレイヤーに表示されるフレームの中には、事前に感染しているかどうか専門家が鑑定済みのものが忍ばされている。これを正しく判別できたかどうかで、各プレイヤーの「診断力」の精度を大学側で値踏みすることができる仕掛けになっている。
【参照情報】
・Game on! UCLA Researchers use Online Crowd-Sourcing to Diagnose Malaria<プレスリリース>
・Crowdsourced Pathology , Thanks to Video Gamers
・Crowdsourcing Game Helps Diagnose Infectious Diseases
・A Video Game Where Players Help Real Doctors Diagnose Malaria
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら