ナイジェリアの携帯キャリアが罰金の支払いを命じられた。ナイジェリア通信委員会(NCC)が、MTNナイジェリア、Gloモバイル、エアテル(Airtel)、Etisalatナイジェリアの4社に対して総額11億7000万ナイジェリア・ナイラ(NGN)(1NGN=0.5円換算で約5億8500万円)のペナルティを課したのだが、その理由はサービス品質が基準を満たしていないというものだ。
NCCが4月と5月に実施した接続品質や安定品質、通話品質などの測定で、4社ともに基準を満たすことはできなかった。MTNナイジェリアやEtisalatナイジェリアはただちに設備投資により品質改善を目指すと表明しているが、同時に携帯電話の品質の低さは、キャリア側だけの責任ではないとも主張している。
まずは電力供給の問題。全国に約25,000基の基地局があるが、すべてに正副2系統のディーゼル発電機が併設され、燃料代やメンテナンス費がかかる。一部は電力会社の送電網の外にあるので常時、発電機で給電する必要があるという。
また、通信キャリアには周波数のライセンス料だけでなく、さまざまな税金が課せられている。税引き前利益の1%を国家情報技術開発局に毎年支払わなければならないほか、鉄塔が航空高度を制限してしまうことに対する空の利用料や、地上の光ファイバーの敷設にも土地の利用料がかかり、その種類は15にも及ぶのではないかとする記事もある。
また、道路その他、他社の行う工事によりケーブルが切られてしまったり、ケーブルが盗まれたりすることもあるという。MTNの場合、ファイバーの切断は月間70件以上に上る。こうした事態が是正されない限り、品質の向上は自社努力のみでは限界があるというのが各社の主張のようだ。
QoS(サービス品質)劣化によってキャリアが罰金を命じられている例は他国にもあって、例えば同じアフリカのガーナではMTN、Expressoが、アラブ首長国連邦(UAE)ではEtisalatがいずれも今月になってペナルティを課せられている。
【参照情報】
・Nigeria: NCC Fines - GSM Firms to Invest U.S.$1.8 Billion On Network Upgrade
・Etisalat, MTN react to NCC's N1.17bn penalty
・Nigerian Mobile Operators Shocked By Poor Service Penalties
・Nigeria: Killing Telecoms With Multiple Blows
・Etisalat Nigeria reaffirms commitment to quality service delivery
・MTN and Expresso hit with QoS fines
・UAE phone giant hit with $2.25m penalty
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