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位置情報から見たスマートフォン×ソーシャルメディア時代のプライバシー

2012.06.19

Updated by Yusuke Aoyama on June 19, 2012, 11:00 am JST

「ロケーションビジネスジャパン」(主催:株式会社ナノオプト・メディア)は、空間情報のビジネス活用の検討を目的として、Interop Tokyo 2012と同時に開催されたコンファレンスである。この中で6月13日、「位置情報とプライバシー」というセッションが開催された。

変化するプライバシー概念と山積みの課題

まず、セッションのモデレータを務めた坂下哲也氏(一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC))が、スマートフォンの普及やO2O(Online2Offline)などへの注目が高まる中、こうした新サービスの情報基盤である位置情報への期待が産業界で高まっている状況を紹介。またその一方で、TPOにフィットした情報の精度が向上するほど、プライバシーに関する懸念も生じていると指摘した。

これを受けて、情報通信分野のコンサルタントであるクロサカタツヤ氏(企・代表取締役)が、プライバシーという概念の変遷を出発点に、その中で位置情報がどのように扱われているのか、また昨今の情報通信技術の高度化が、プライバシーという概念そのものにどのような影響を及ぼしているのかを、日本を含む世界各国の法制度等を参照しながら説明した。

▼時代と共に拡大しつつあるプライバシーの概念。日本の「個人情報保護法」が対象にするのはその一部に過ぎないとクロサカ氏は指摘。(図版提供:クロサカタツヤ氏)
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▼スマートフォン×ソーシャルメディア時代に出現する、プライバシーにまつわる新たな課題。(図版提供:クロサカタツヤ氏)
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一方、高崎晴夫氏(KDDI総研取締役)は、消費者と事業者の双方が正しくプライバシーを理解し、社会全体の利益を高めるためには、プライバシー情報の利用によって生じる便益とリスクのバランスを考えることが大事だと指摘した上で、位置情報との連携によって高付加価値化するプライバシー情報について、具体的な経済価値の算定への取り組みが、経済産業省やOECD等で進みつつあることを紹介した。

▼プライバシー情報を含むビッグデータ活用への取り組みは加速している(図版提供:高崎晴夫氏)
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現実を直視した上で、経済的価値の評価と守るべきものの明確化を

ディスカッションでは、JIPDEC坂下氏が、21世紀の情報経済の発展に不可欠な基盤として位置情報が考えられていると説明した上で、プライバシーに関する問題をどのように克服すべきか問いかけた。これに対し高崎・クロサカ両氏は共通して、技術の発展により収集できる情報の種類や精度が著しく向上している現実を直視することの必要性を指摘した。

また高崎氏は、位置情報の利用をはじめこうした経済活動やその価値の理解は日本が先行している分野であり、その経済価値を正しく評価することの重要性を、またクロサカ氏はプライバシーが最終的にはその国々(あるいは自らが属するコミュニティ)が判断すべき問題だとし、海外の動向を意識するだけでなく、日本の消費者自らが何を守りたいのか明確化していく必要があると述べた。

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青山 祐輔(あおやま・ゆうすけ)

インプレスにてimpress Watch編集記者と月刊誌「インターネットマガジン」編集者を経て、社内シンクタンクの研究員を務めたのち2007年に独立。フリーランスのライター、編集者、ウェブディレクターとして活動。IT系ウェブメディアから総合誌、フリーペーパーなどで執筆。