欧州電気通信標準化機構（European Telecommunications Standards Institute：ETSI）は1日（欧州時間）、次世代の小型SIMカードーーいわゆる「ナノSIM」（"nano-SIM"）の新たな規格として、アップル（Apple）が提出していた規格案が標準に選ばれたことを明らかにした。

アップルが提案していた新たな規格は、現行の「マイクロSIM」（"micro SIM"）カードに比べて40%ほど小さく、従来のSIMカードと後方互換性があるもの。SIMカードのサイズがさらに小型化されることで、メーカー各社にとっては端末内により大きなバッテリーなどを搭載したり、本体の薄型化を図れるなどのメリットがあるとされる。

ETSIは、今回決定したSIMカードの詳細について「追って発表する」としただけで、具体的にアップルの名前を挙げたわけではない。だが、ドイツのSIMメーカーのジエセッケ&デブリエント（Giesecke & Devrient：以下、G&D）の広報担当者とETSIの委員会のあるメンバーが、MacWorldに対し、アップル案が採用されたことを認めたという。

新規格の標準化をめぐっては、アップルと、ノキア（Nokia）など複数の競合端末メーカーの間で争いが生じてたことから、予定より決定に時間がかかっていた。

ノキアは今回の決定について、「標準に選ばれた（アップルの）SIMが技術的に劣っており、いくつかのアプリケーションに適合しないと考えている」としつつ、「ETSIの決定を尊重する」としている。また同社は以前に「アップルの規格がETSIの必要条件を満たさないため、これが選ばれた場合は関連するSIM関連の特許を許諾するつもりはない」としていたが、この点に関しては「ETSIがノキアの懸念を汲み入れた」とし、業界標準に準拠するために必要な「必須標準特許」（FRAND特許）をライセンスする意志をETSIに伝えたという。

【参照情報】
・It's official: The SIM card is shrinking! - GigaOM
・Mobile-Phone Makers End Deadlock on Standard for New SIM Cards - Bloomberg
・Apple's Sim backed by Europe - FT
・New SIM card format for slimmer, smaller phones - ETSI
・ノキア：「アップルの規格が採用されたら、関連特許は提供しない」- 次世代SIM規格争いが過熱
・アップル、自社推進SIMに関わる必須特許をライセンス料なしで提供か - 次世代SIM規格争い
・次世代小型SIMをめぐり、アップルと競合端末メーカー各社が対立（FT報道）

次世代の小型SIMカード--「ナノSIM」（"nano-SIM"））の規格策定に関し、新たな動きが浮上していたという記事はこちら。

アップルは「自社が推す新型SIMカードの規格が標準に採用された場合、アップルが持つこのナノSIMに必要不可欠な特許をロイヤリティフリーで他の企業にも提供する」という内容の手紙を送ったという。

アップル、自社推進SIMに関わる必須特許をライセンス料なしで提供か - 次世代SIM規格争い