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ベライゾン、データ共有プランを正式発表 - 「過去20年で最大の変更」とアナリスト

2012.06.13

Updated by WirelessWire News編集部 on June 13, 2012, 11:57 am JST

Share Everything Plan: Verizon Wireless
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米携帯通信最大手のベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless:以下、ベライゾン)は現地時間12日、以前から導入の意向を示していたデータ共有プラン(「ファミリーデータプラン」)の詳細を発表した。ひとつの契約で複数の端末用回線を使えるようになるこの新しいプランは、今月28日から提供開始になるという。

ベライゾンの新たな料金プランの名称は「シェア・エブリシング」(Share Everything)で、1つの契約でスマートフォンやタブレット、ノートPCなど最大10台までの端末を利用可能になり、端末ごとの契約・料金支払いで生じる無駄を省ける、というもの。この新プランでは、これまで有料(定額制)だった音声通話とテキストメッセージが無制限で利用できるようになる代わりに、データ通信プランの最低金額が1ギガバイト(GB)50ドルに引き上げられる。また端末1台につき、タブレットが10ドル、ノートPCやUSBモデムが20ドル、フィーチャーフォンが30ドル、スマートフォンが40ドルの料金も必要となる。

データ通信料については、1GB 50ドル、2GB 60ドル、4GB 70ドル、6GB 80ドル、8GB 90ドル、10GB 100ドルとなっている。またスマートフォンなどをモバイル・ホットスポットとして使う場合には、これまで別料金がかかっていたが、新プランでは無料になるという。

新しいデータ共有プランでは、たとえばスマートフォン1台で1GBのプランを選択した場合、1ヶ月の支払額は90ドル(端末40ドル+データ通信料50ドル)となる。これに対し、現在のプランでは、同じ90ドルで「450分の音声通話、2GBのデータ通信、無制限のテキストメッセージ」という内容のものがある。そのため、新プランでは利用できるデータ量が少なくなる代わりに、音声通話やテキストメッセージが無制限で使えるようになるメリットも生じる。

ただし、これまでベライゾンのテキストメッセージは使わず、かわりにスマートフォン・アプリをつかっていたような場合には、450分の音声通話料と2GB分のデータ通信料をあわせても月額70ドルで済んでいたが、新プランでは同じ2GBを選ぶと100ドルかかることになる。いっぽう、音声通話とテキストメッセージが無制限のプランと2GB分のデータ通信を組み合わせた場合は、現行の120ドルから100ドルへと安くなる。

また、家族で3台のスマートフォンを使う場合には、現在170ドル(700分の通話、テキストメッセージ無し、1台に2GBずつのデータプラン)の料金が、新プランでは200ドル(スマートフォン1台40ドルx3、データ6GB 80ドル)となるいっぽう、こちらも音声通話無制限のプランでは290ドルが2000ドルへと割安になる。

ベライゾンが発表した新プランについて、サンフォード・バーンスタイン(Sanford Bernstein)のアナリスト、クレイグ・モフェット(Craig Moffett)氏は、「通信業界の料金プランとしては、過去20年でもっとも大きな変更」とWSJに述べている。また、BTIG LLCのアナリスト、ウォルト・ピエシク(Walt Piecky)氏はBloombergに対し、今回のプランが「ARPUの上昇を狙ったもの」とし、最低価格が上がるため、「ライトユーザーには負担増になるもの」としている。

なお、米国市場第2位のAT&Tでも、ベライゾンと同様のファミリー(データ共有)プランを2012年中に提供を開始する見込みだという。

米国市場での加入者数であわせて約3分の2を占める大手2社--ベライゾンとAT&Tはいずれも、スマートフォンの普及によるトラフィック増加を受けて、すでにデータ通信の従量制課金に移行している。また、これまで大きな収入源となっていた音声通話やテキストメッセージの利用が、マイクロソフトの「Skype」やアップルの「iMessage」、フェイスブックのメッセージ機能などIPベースのサービスに取って代わられつつあるなかで、今回の料金体系見直しは、加入者の利用実態の変化に対応し、データ通信サービスからより多くの売上を得るための施策といえる。

スマートフォンの普及拡大にともなうデータ通信料からの収入で、ここ数年売上を伸ばし続けてきた米国の大手事業者も、新規加入者増加の余地が減少するなかで、新たな売上増の手段を確保する必要が高まっている。また、これまで取り扱い機種の違いによって競合との差別化を図ってきた大手でも、たとえばアップル「iPhone」を下位の事業者が取り扱うようになってきているなかで、こうした差別化がしにくくなっている。さらに今年に入ってからは、端末販売時の割引負担軽減をねらって、既存ユーザーに対し新規端末への切替時に料金を課すといった施策を打ち出す例も出てきてる。

ベライゾンによる新料金プラン導入には、従来のスマートフォンを牽引力とした新規ユーザーの獲得から、既存加入者のつなぎとめへと軸足を移す通信事業者側での姿勢の変化を映したものと見ることもできよう。

【参照情報】
Verizon Wireless Unveils Shared-Data Plans - WSJ
Verizon to Debut Data-Share Plan for Multiple Devices - Bloomberg
You'll likely save money with Verizon's "Share Everything" plans - GigaOM
A Cheat Sheet for Verizon's New Shared-Data Plans - Digits(WSJ)
Why Verizon is offering shared data plans - Fierce Wireless

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米携帯通信最大手のベライゾン・ワイアレスは、同社が昨年から導入を明言していた1回線の契約で複数の携帯端末を利用できるいわゆる「ファミリーデータプラン」を今年夏にも導入するという。同社のフラン・シャモーCFOが、JPモルガン主催の投資家向けイベントの中で明らかにした。

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