既報の通り、マイクロソフト（Microsoft）が「謎の発表イベント」を米国時間18日にロサンゼルスで開催することを14日に突如明らかにし、この集まりへの招待状を報道関係者に送付していたが、この発表の内容について、「同社が独自開発したタブレット端末になるのではないか」という見方が浮上している。

これは、14日晩にまずTheWrap.comというニュースサイトがマイクロソフト関係者の話として伝えたもの。また、AllThingsDigital（ATD）でもこのTheWrapの記事に言及しつつ、複数の独自情報筋から同様の話を聞いていたとしている（ATD記事の執筆者が、CNET時代から10年近くマイクロソフト番を務め、スティーブ・バルマーCEOなどにも何度もインタビューしてきた実績のあるイナ・フリード記者であることを考えると、ある程度確度の高い情報筋からの話と推測できる）。

いっぽう、ZDNet「All About Microsoft」のメアリー・ジョー・フォリー（Mary-Jo Foley）氏は「新しい情報は入ってきていないため、この独自タブレット開発の可能性については判断しかねる」としながら、「もし何からのハードウェアが出てくるとすれば、アマゾンの『Kindle Fire』と競合するようなものなるのではないか」と推測。その根拠として同氏は、マイクロソフトが以前からメトロ（Metro）UIを採用する電子書籍リーダーの投入可能性を示唆してきたとし、さらに同社が先にバーンズ＆ノーブル（Barnes & Noble）と提携したことも挙げている。ただし、その場合にはWindows RT採用のARMベースのタブレットではなく、Windows Embedded OSもしくはWindows Phone OSで動くものになる可能性のほうが高いのではないか、とも付け加えている。

周知の通り、マイクロソフトが過去に手がけたハードウェア製品では、「Xbox」のような成功例があるいっぽう、音楽プレーヤー「Zune」のように立ち消えになった例もある。また、スマートフォン分野では、PCの場合と同様メーカーの自己裁量の余地が大きかったWindows Mobileに対し、現在のWindows Phone 7ではよりハンズオンなアプローチをしてきている。

ATDでは、マイクロソフトが独自開発のタブレットを市場に投入するとなった場合、PC時代からのパートナーであるHPやデル（Dell）、エイサー（Acer）、レノボ（Lenovo）などとの利害をどう調整し、棲み分けていく考えなのかははっきりしないとしつつ、すでにインテル（Intel）チップ対応のWindows 8タブレットだけでなく、Windows RT版の製品開発も進めているメーカーも多いことから、各パートナー企業での対応が注目されると述べている。

なお、The Vergeの編集者ディーター・ボーン（Dieter Bohn）氏は、今月下旬に予定される「Google I/O」でグーグルがNexusブランドの7インチタブレットを発表する可能性が高いことに触れながら、「競争相手としてiPadを想定する大型タブレットよりも、アマゾンのKindle FireやGoogle Nexusタブレットなどと対抗するようなメディアタブレットのほうが、パートナーのハードウェアメーカー各社にも受けがいいのでは」という自らの考えを述べ、またこの分野でいまのところ具体的な計画を明らかにしていないノキアがこの7インチタブレットの開発に係わっている可能性も考えられると記している。

ノキアでは昨年11月にフランス支社の幹部が「Windows 8搭載タブレットを2012年6月に発売する」と語ったと伝えられたことがあった。

【参照情報】
・Microsoft Manufacturing Tablet to Rival Apple iPad, Says Insider (Exclusive) - TheWrap
・Microsoft Is Doing Its Own Tablet. How Do You Like Them Apples? -
・What if the rumored 'Microsoft tablet' isn't a Windows tablet? - ZDNet
・Is Microsoft launching its own tablet? - The Verge
・マイクロソフト、突然の「謎の発表イベント開催」で飛び交う憶測（編集担当メモ）
・マイクロソフト、バーンズ＆ノーブルと提携 -「Nook」新設子会社に3億ドル出資
・グーグル、今年秋にも複数の「Nexus」ブランド端末を同時発売の可能性（WSJ報道）
・ノキア、「Windows 8」タブレットを来年6月にも投入か - スマートフォンではシェア確保を優先