米国で、サムスン（Samsung）製の一部のAndroid端末を対象とする販売仮差し止め命令が出されていた件で、サムスンから出されていたスマートフォン「Galaxy Nexus」に関する発効保留の要請が却下された。この前日には、タブレット端末「Galaxy Tab」に関する同様の要請も却下されていたが、今回の判定で米国では当面、「Galaxy Nexus」が店頭から姿を消すこととなる。

この問題は、自社の保有する特許権への侵害を理由にアップル（Apple）がサムスン製の複数の端末の販売差し止めを求めていたもので、カリフォルニア州北部地区連邦地裁のルーシー・コウ（Lucy Koh）判事は先週、「Galaxy Tab」および「Galaxy Nexus」の販売仮差し止めを命じる判決を下していた。

これを受けて、サムスンは連邦巡回区控訴裁判所に控訴の訴えを提出するとともに、同裁判所における判決が下るまでの間、販売仮差し止め命令を保留するようコウ判事に訴えていた。しかし同判事は2日に「Galaxy Tab」、3日には「Galaxy Nexus」についてのサムスンの訴えを却下した。

アップルはすでに、「Galaxy Nexus」の販売仮差し止めが有効となるために必要な9560万ドルの補償金支払いを済ませている。また同端末が4月から販売されていたグーグルの「Google Play」サイトでは、現在同端末の取り扱いが一時停止されている。

[The Verge]

この判決を受けてグーグル（Google）およびサムスンの両社は、販売差し止めを回避するためのソフトウェアアップデートに早急に用意する意向を発表。グーグルは、このアップデートを「すぐにリリースする予定」としているという。

なお、グーグルはThe Vergeの取材に対し、来週には「Google Play」上での同端末の販売が再開される見込みであると回答しているが、ただしその理由など詳細は明らかにされていない。

FOSS Patentsなどの指摘によると、コウ判事は、アップルが侵害されたと主張している特許権の中でも、特に「ユニバーサル・サーチ」に関連する特許権への侵害を重要視し、それが今回の販売仮差し止めの判断につながったという。

グーグルは、サムスンの控訴を支持するとともに、該当の特許権の有効性を問い直す意思をみせている。グーグル、サムスン両社は、グーグルのユニバーサル・サーチ（unified search function）がアップルの特許権に先行するとして、米国特許商標庁に対して該当の特許の見直しを求めると思われる。なおこの特許はアップルの「Siri」にも関連するもので、検索関連事業の収入が大部分を占めるグーグルにとっては、パソコン分野（ウェブブラウザからの文字入力による検索）で気づいたが牙城が、モバイル端末普及拡大の流れなかで、一挙に切り崩されかねない可能性を示唆するものと思われる。

コウ判事が判決で「Galaxy Nexusはサムスンの唯一のスマートフォンではない」と述べたとおり、売り上げの面では同端末の存在は決して大きくはない。しかし同端末は、「Ice Cream Sandwich」（Android4.0）を搭載した初の端末であったとともに、7月中旬から配布予定の最新Android OS「Jelly Bean」（Android4.1）がいち早く利用可能となる端末でもあり、グーグルのAndroid戦略において非常に役割を担っている。

【参照情報】
・Galaxy Nexus ban remains in effect (for now), Apple posts $95.6M bond, Google stops selling - FOSS Patents
・Galaxy Nexus no longer available to purchase from Google Play website, will return next week - The Verge
・Google, Samsung to Release Software Patch To Keep Galaxy Nexus on the Market - ATD
・Judge Denies Reprieve in Galaxy Nexus Case, Allowing Sales Ban to Take Effect - ATD
・サムスンの訴え、聞き入れられず - Galaxy Tab販売差し止め判決は有効
・アップル「2連勝」- 米での対サムスン特許訴訟、「Galaxy Nexus」にも販売仮差し止め命令
・米国でサムスン「Galaxy Tab」の販売差し止め判決