「Instagramのビデオ版」として一時は人気の急上昇が伝えられていたスマートフォンアプリ「Socialcam」を提供する同名のベンチャー企業が、ソフトウェア大手のオートデスク（Autodesk）に6000万ドルで買収されることになった。2011年3月にJustin.TVからスピンオフしたSocialcamは現在4人のメンバーがおり、買収後も別の組織として運営されるという。

AllThingsDによると、Socialcamのアプリは現在フェイスブック（Facebook）で人気ナンバー１で、1日の利用者数は約370万。ただしこのところ利用者数は下降気味だという。また今年春には利用（者）数が一挙に急増したこともあったが、この時にはYouTubeに投稿された人気コンテンツを流用する形で数字を水増ししたとする批判の声も上がっていた。ATDによると、Socialcamではしばらく前から売却相手を探していたという。

出身母体のY-Combinator関係者をはじめ、ユーリ・ミルナー（Yuri Milner）からローリーン・パウウェル・ジョブズ（Laurene Powell Jobs）、さらにはアシュトン・カッチャー（Ashton Kutcher）まで、さまざまな著名人から資金を集めたことで話題を呼んだ同社が意外にあっけない形でエグジットを決めた背景には、フェイスブック（Facebook）の株式公開失敗などによるシリコンバレーでの風向きの変化とともに、事業の潜在成長性などに関わる内的な問題があったのかもしれない。

オートデスクは、3Dモデリング用のソフトウェアなど、主として業務用アプリケーションの分野で有名だが、ここ数年はコンシューマ向けアプリなどにも力を入れてきており、iOS向けに「SketchBook」などの製品を提供している。

【参照情報】
・Autodesk Buys Mobile Video Shooting Star Socialcam for $60M - ATD
・Video star Socialcam sells to Autodesk for $60M - GigaOM
・Autodesk to Buy Socialcam to Boost Consumer Business - Businessweek
・Autodesk's Socialcam Play - Bits (NYTimes)
・Socialcam Nabs Angel Funding From The A-List: Yuri Milner, Tim Draper, Laurene Powell Jobs, And More - TechCrunch
・「第2のインスタグラム」を探せ - 注目と資金が集まるモバイル動画共有サービス