ひかりTVが年内に音楽配信サービスと電子書籍サービスを開始する。10月5日に開催されたひかりTV2012年度下期事業説明会でその概要があきらかにされた。
▼NTTぷらら代表取締役社長 板東浩二氏
電子書籍サービス「ひかりTVブック」は11月中旬からサービスを開始する。サービス開始時には約3万冊からスタートし、順次5万冊まで拡大。出版社は数百社と調整中。対応機器はiOS・Androidのスマートフォン、タブレット、PC(Windows)、ひかりTV対応チューナーで、スマートフォンのみの契約も可能。購入した電子書籍はマルチデバイスで利用できる。
▼タブレットからアクセスした電子書籍ストア
ラインナップはコミック、文芸、絵本、写真集などで、写真集と絵本についてはテレビでも視聴が可能。絵本には電子書籍データに独自に収録した読み上げ音声を加えた「読み聞かせ機能」を搭載する。「家族で楽しめることが特徴。絵本は紙よりもテレビのほうがきれいに見えると思うので、音読で読んで聞けるという機能を付与したいと考えています。写真集もテレビに合っているとおもいます」(板東社長)と、他のサービスとの差別化ポイントをアピールした。
▼電子書籍化された絵本に音声がついており、読み上げながら自動再生が可能
音楽配信サービス「ひかりTVミュージック」は12月から順次提供予定。定額制で邦楽・洋楽合わせて数百万曲以上を目標に聞き放題でストリーミング配信する。当初はスマートフォン(iOS、Android)でサービスを開始し、年度内にPC、ひかりTV対応チューナーにも対応する。こちらもスマートフォンのみの契約も可能。スマートフォンで作成したプレイリストをテレビやPCなどマルチデバイスで共有可能。こちらも、「テレビで高音質な音楽を家族で楽しめる」ことをアピールする。
▼おすすめ、ランキング、年代別などの再生も可能。スマートフォンで作成したプレイリストをテレビで共有できる
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他に、2012年度下半期の施策としては、映像コンテンツの拡充として、11月からローカルテレビ局の人気番組をひかりTVチャンネル1で毎日1時間の編成で放送。北海道テレビ放送の「おにぎりあたためますか」などが全国で楽しめるようになる。放送だけでなく、VODやモバイルでも提供する。
▼各地域の人気番組が全国で楽しめる
また、TOKYO MXで毎日月~金曜日に放送される生番組「ニッポン・ダンディ」を全国に生番組として同時放送する(報道発表資料)。地上波局の放送をIPTVで同時に全国へ放送するのは初の取り組み。こちらも11月から放送を開始する。
映像サービスの高度化への取り組みとしては、Android OSに対応した多機能セットトップボックス(アンドロイドSTB)を2012年度末までに投入する。従来の約10倍のハードウェア性能を生かし、テレビの大画面を活かした新しいユーザーインターフェイスを提供する。具体的なイメージとして、ユーザーが機能を選んでカスタマイズできる「フリックパネル・ユーザーインターフェイス」(仮称)を提示した。音楽、書籍、ゲームなどの新サービスや、ソーシャルメディア連動にも対応する。
▼アイコンよりもダイレクトにコンテンツを訴求するフリックパネル。手前はアンドロイドSTB
▼さまざまな機能を持ったパネルを自由に組み合わせてカスタマイズが可能。背景画像もカスタマイズできる
アンドロイドSTBの価格については未定だが、「レンタルと買い切りの両方を用意する予定。料金についても、現在のSTBをご利用のお客様が移行しやすいように考えたい」(板東社長)としている。
他の施策としては、2012年中にシリーズもののVOD再生を便利にする「マイチャネル機能」を実装予定。また、2012年度中にはゲームサービス、ダウンロードレンタル、PC向け映像配信も開始する予定。
ひかりTVの会員数は2012年9月末で224万会員。新たなサービスの提供などにより、年度末目標255万会員を目指す。
【報道発表資料】
・「ひかりTV」でTOKYO MXの「ニッポン・ダンディ」を全国に放送開始 ~IPTV初!地上波放送局の生番組を同時放送~
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登録はこちらWirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。