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電気自動車メーカーのテスラ・モータース(Tesla Motors)や民間宇宙船開発のスペースX(Space X)を率いるイーロン・マスク(Elon Musk)氏が米国時間27日、再利用可能なロケットを使用した火星への人類上陸・移住構想を発表し、複数の媒体でこのニュースが報じられている。

地球温暖化を懸念するマスク氏は、化石燃料に頼らない電気自動車の開発(テスラ)や太陽光発電の普及を狙ったソーラー関連事業(ソーラーシティ)を進める一方で、人類が地球上で生存できなくなった場合に備えて、火星上にコロニーを建設するという考えを以前から明らかにしており、スペースXで開発を手がける再利用可能なロケットもそのための手段の一つと説明していた。

マスク氏は、メキシコのグアダラハラで開催された第67回国際宇宙会議(International Astronautical Congress)で行った「Making Humans a Multiplanetary Species」と題する講演のなかで、火星への人類上陸・移住構想の概要を明らかにした。同氏はこの構想の内容について、一度に100〜200人の人間が乗船できる宇宙船で人類を火星に運び、40〜100年をかけて現地に100万人規模の自給自足可能なコロニーを建設することなどを明らかにしたという。

同氏はまた、火星に向かう宇宙船をブースターロケットを使って打ち上げること、このロケットが打ち上げ後に地球と宇宙船との間を往復し、火星までの飛行に必要な燃料を宇宙船に途中で補給すること、さらに宇宙船が航行中にはソーラーエネルギーも活用すること、火星上陸後は現地の資源を利用する燃料工場を建設し、帰還に必要な燃料を確保することなどをアイデアとして挙げたという。

地球から火星への飛行日数は、当初は80〜150日間になる見込みだが、マスク氏は将来的にこれを30日程度に短縮したい考え。また、火星への渡航にかかる費用は当初一人当たり約20万ドルを想定していることや、コスト削減などと通じて将来的にはこのコストを半分程度にまで引き下げたい考えも明らかにしたという。

なお、マスク氏はこの構想がいつ頃までに実現するかといった点については明らかにせず、また計画実現に必要な費用やオペレーションの詳細などにも触れていないとWSJは記している。

【参照情報】
Elon Musk Outlines Plans for Missions to Mars - WSJ
Musk Offers Mars Vision of Reusable Rockets, $200,000 Fares - Bloomberg
Elon Musk’s proposed spaceship could send 100 people to Mars in 80 days - The Verge

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