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空間情報系アプリの限界と可能性(3)地図/カメラ/音

2012.11.02

Updated by on November 2, 2012, 16:00 pm UTC

アダプティブ・デザイン

昨今、アプリのデザインには、アダプティブ・デザイン(adapted design)が重要といわれる。マルチディバイスへの対応や、複数の画像解像度への対応など、多様化するユーザーインターフェースの間で、デザインの適応性(adaptivity)を確保することに狙いがある。

スマートフォン〜タブレット〜PCとディバイスが変わろうと、解像度が変わろうとデザインの一貫性を確保するとともに、デザイン作業と表示の仕組みをいかに効率化できるかが問われている。いわゆる色や形などのデザイン性は、あくまでこの方針の下に検討されるべきものである。スマートフォン時代の新しいルールである。

一方、「おもてナビ」は、画面の外周四枠にテーマ色を入れ、画面ごとにテーマ色を変えるデザインである。解像度対応は、基本的に画像の拡大・縮小で行うことにした。3年前に企画開発をスタートした段階で、画像解像度の種類は限られており、そもそもスマートフォンの普及がこれほど早いとは思わなかった。現時点で、スマートフォンの人気機種に限っても解像度は7種類あり、画面の縦横比も2:3、2:4、3:5、9:16とまちまちである。これほど縦横比が違うと画像の拡大縮小でデザインが収まり切るものではない。これに画面サイズの種類を加えると、数十種類の端末への対応が必要となる。たった3年前だか、隔世の感がある。

「おもてナビ」は、若き美術家の石塚つばささんのユニークなデザインコンセプトを採用したものの、適応性をそれほど重視しなかった。そのツケは、新しいスマートフォンモデルが発表になるたびに回ってくることになった。

▼図 主なスマートフォン・タブレットの画像解像度・縦横比
201211021600-1.jpg

音声を重視する

「おもてナビ」は、「地図画面」と「ARカメラ画面」を切り替えながらまち歩きを楽しむ。ユーザーが利用する場面を観察すると、地図画面を見ている時にはスマートフォンを地面と平行にして覗き込むように使う一方、ARカメラ画面では、スマートフォンを地面に垂直に立て、目の前にかざして使う。(下図参照)こうした使い方にはほとんど例外がないことがわかる。

ただ、これではまち歩きに無理が生じる。というのも、ARカメラ画面では目の前にかざした画面に集中するので足下の段差につまずき、地図画面では下を向いているので下手をすると電柱にぶつかって危険である。また、ARカメラ画面を見続けていると挙げた腕が疲れてしまうので、長時間使い続けるのが難しい。経験してみて初めてわかった事実である。

201211021600-2.jpg

一方、意外に効果的だったのが「再生音声」によるガイドである。「おもてナビ」には、所定の位置に近づくと施設情報などを自動的に再生する仕組みや、ボタンを押して音声を再生する仕組みを持たせている。画面による視覚的な情報提供が、ユーザーの歩くという動作の妨げになって持続しないのに対して、聴覚(音声)による情報提供は、むしろ歩行者に無理がなく安全である。音声を中心に据えてみると、音声が聞こえたら、そこには説明されるべき情報があると気づき、画面を開いてエアタグ(アイコン)をタップして詳細情報を入手する、といった使い方があることに気づく。

そこで、「おもてナビ」は音声を重視することにした。まずは野外での音の通りをよくするため、自動読み上げ機能ではなく、録音した肉声を、それもアナウンサーの声を使っている。FM秋田などに協力いただき、地元タレントさんにお薦めルートを披露してもらうとともに、主要施設の説明文を読み上げてもらうことにした。

例えば、秋田で知らない人はいないタレントの石垣政和さんには、飲み屋さんを紹介するお薦めルート「夜のハイカロリー食っちゃう?」を提供いただいた。夜の町に響きわたる石垣さんの超ハイテンションな語りを聞いていると、改めて音声の凄さを認めざるをえない。

(次回に続く)

※修正履歴
11/3 11:30 図版「主なスマートフォン・タブレットの画像解像度・縦横比」を差し替え(iPad miniを図版内に追加)

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