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[2012年第47週]ソフトバンクの解約金は合法、NTT東西がフレッツ光をモバイルに対抗値下げ

2012.11.26

Updated by Naohisa Iwamoto on November 26, 2012, 12:00 pm JST

ソフトバンクモバイルの解約金が合法かを争った裁判の判決が出た。ソフトバンクモバイルに対しては「合法」との判決だ。この週、直接的なモバイル分野の話題ではないが、NTT東日本・NTT西日本のフレッツ光の値下げのニュースがあった。これはモバイルサービスの普及が固定回線に大きく影響を与えていることを示すニュースだ。KDDIとソフトバンクモバイルがiPad miniと第4世代iPadを11月30日に発売するというトピックもあった。

ソフトバンクの解約金に対する判決は「合法」

11月20日、特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク(以下KCCN)によるソフトバンクモバイル(以下SBM)を相手取った解約料条項使用差止請求訴訟の第一審判決が京都地方裁判所で言い渡された。判決では、原告の請求は棄却され、SBMのホワイトプランN(現在、SBMのWebサイトなどでは「ホワイトプラン」と表示)の解約金条項については、消費者契約法には反しないという内容である。

先にNTTドコモ(以下ドコモ)、KDDIに対する同様の条項の使用差止請求では、ドコモに対しては原告の請求を棄却し、KDDIに対しては原告の主張を一部認めるという判決があった。今回の対SBM訴訟の判決内容はこれらとどこが異なり、どのような根拠で判決が下されたのかを読み解いていくと、SBMの「平均的な損害」の算出方法がドコモともKDDIとも異なることが一因であることがわかる(関連記事:ソフトバンクモバイル解約金訴訟の判決文を読む)。

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Xiが700万契約、固定の光サービスが対抗値下げ

NTTドコモのLTEサービス「Xi」(クロッシィ)が、2012年11月18日に700万契約を突破した。600万達成は9月23日で、700万契約までの100万契約の増加は2カ月弱かかっている。400万〜500万契約(28日)、500万〜600万(35日)に比べて、ペースダウンが見られる。9月21日にはKDDIとソフトバンクモバイルでもLTEサービスが始まっていて、その影響が出ているとも考えられるが、絶対数はすでに無視できない規模になってきた(報道発表資料:「Xi」(クロッシィ)の契約数が700万を突破)。

そうした影響を受けているのがNTT東日本・NTT西日本で、フレッツ光の大幅な料金割引に踏み切った。Xiをはじめとした高速のモバイルブロードバンドサービスの普及に対抗するものだ。

NTT東日本はフレッツ光の新規加入促進キャンペーンの実施を発表した。キャンペーンの名称は、「思いっきり割」。ファミリータイプ(一戸建て)で2年間の継続利用を条件とした「にねん割」と組み合わせる場合、月額3675円(通常料金は5460円)、マンションタイプの場合は月額2772円(通常料金は2992.5円〜4042.5円)で、いずれも24カ月間利用できる。

NTT西日本は、長期継続利用型割引サービス「光もっと2割(光もっともっと割)」を発表した。割引対象となるサービスはフレッツ光ネクストおよびフレッツ・光プレミアム。一定期間の利用契約を前提に、フレッツ光の利用年数に応じて1156円(1〜2年め)〜1879.5円(8年目以降)の月額利用料を割り引く。新規申し込みの場合、当初の2年間はファミリータイプで月額4515円(通常料金は5670円)、マンションタイプで2992.5円〜4147.5円(通常料金は2730円〜4725円)となる(関連記事:NTT東西がフレッツの料金施策を発表 東の新規加入促進に対し西は長期顧客囲い込みへ)。

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KDDIとSBMがiPad miniを11月30日発売、進む地下鉄エリア化

コンシューマ向けの製品やサービス拡充の動きもあった。KDDIとソフトバンクモバイルは2012年11月30日にiPad miniと第4世代iPadの販売を開始すると発表した。いずれも料金プランなどの詳細は明らかにしていないが、Wi-Fi+Cellularモデルの購入がもうすぐ可能になる(関連記事:KDDIとソフトバンク、iPad miniと第4世代iPadを11月30日に発売)。

東京では、地下鉄の携帯電話のサービスエリア拡大が続いている。前週は都営地下鉄のエリア拡充がニュースになったが、この週は東京メトロ丸ノ内線と東西線が対象で11月26日にエリア拡充が実施される。NTTドコモ、KDD、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの発表では、丸ノ内線で拡大されるエリアは霞ケ関駅〜赤坂見附駅。東西線のエリア化は初めてで、日本橋駅〜西葛西駅が新しくエリアになる(報道発表資料:東京メトロ一部路線における携帯電話のサービスエリア拡大について)。

新しいサービスで利用者のさらなる取り込みを狙う。NHN Japanは、無料通話・メールアプリの「LINE」と連携する新サービス「LINE Play」をプレオープンした。ユーザーが作ったキャラクターの「アバター」でコミュニケーションを楽しめる。自分の顔をカメラで撮影して自分そっくりのアバターを作るだけでなく、目や鼻、口といったパーツを組み合わせて好みのアバターを作ることもできる。作成したアバターは、18種類の「アクションスタンプ」を利用して動かすことが可能で、表情豊かなコミュニケーションを楽しめる(関連記事:NHN Japan、アバターでコミュニケーションできる「LINE Play」を提供開始)。

法人はタブレットがお好き?、災害時対策の実験も開始

法人市場に関連したニュースもあった。矢野経済研究所は、法人のスマートデバイス導入状況について国内の民間企業などにアンケート調査を実施し、その結果を発表した。法人のスマートデバイス導入状況では、タブレット端末の「導入済み」と回答した法人が18.4%に上った。2011年調査では9.2%であり、導入率は1年でちょうど2倍になった。一方、スマートフォンの導入率は17.8%、2011年調査では11.0%だったため、6.8ポイント増にとどまっただけでなく、導入率はそのものもタブレット端末がこの1年で追い越した(関連記事:法人のタブレット導入率は1年で2倍に、スマホを追い抜く--矢野経済研)。

法人向けのソリューションの発表では、NTTドコモのデジタルフォトフレームを使ったソリューションが目を引いた。ドコモは、複数のデジタルフォトフレーム「フォトパネル」に一斉に画像や動画を送付できる「フォトパネル一括管理」機能を提供する。フォトパネル一括管理機能は、専用の「フォトパネル一括管理サイト」から、最大5000台のフォトパネルを遠隔で一括して管理できるもの。デジタルフォトフレームを簡易なデジタルサイネージとして利用して、企業や地方自治体が情報発信などに活用できる(関連記事:ドコモ、最大5000台にコンテンツを一斉送信できる「フォトパネル一括管理」)。

災害時の通信を確保するための技術的な検証も始まる。NTTドコモ、東北大学NEC、日立東日本ソリューションズ、富士通は共同で、大規模災害時の移動体通信の制御技術についての実証実験を行う。具体的には、東日本大震災のような大規模災害が発生して通信混雑が発生した場合に、音声通話やメールを優先的に取り扱う通信技術。安否確認などで最も利用が多くなる音声通話とメールを優先するようにネットワークを制御することで、混雑緩和に役立てる。東北大学の研究施設へ実験に必要な設備の構築が完了し、すでに構築済みの横須賀リサーチパーク内にある研究施設ととも、実証実験を2013年1月から開始する(報道発表資料:ドコモ、東北大学、NEC、日立東日本ソリューションズ、富士通による大規模災害時の新たな通信混雑緩和技術の実証実験について)。

昨年の第47週のできごと

・ドコモ、6項目中4項目で他社を上回る評価
・サービス連携などの動きも
・WiMAX、ユーザー拡大にあの手この手
・キャンペーン延長など各種サービスの動き

[2011年第47週]顧客満足度は今年もドコモに軍配、ショッピングやクーポンでサービス連携、攻めるWiMAX

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。