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クアルコム、高性能なSnapdragon 800で4K2Kビデオのエンコードなどをデモ

2013.02.27

Updated by Naohisa Iwamoto on February 27, 2013, 09:47 am JST

Mobile World Congress 2013(MWC 2013)のクアルコムブースでは、詳細が発表されたばかりの高性能プロセッサー「Snapdragon 800」の実力を試すデモが前面に押し出されている。フルHDの4倍の画素数を持つ4K2Kの動画をSnapdragon 800を搭載したスマートフォンでリアルタイムにエンコードできるといったものだ。

Snapdragon 800はハイエンドのスマートフォンやタブレット端末に向けた高性能なプロセッサー。MWC 2013ではこのプロセッサーの性能を示す複数のデモが行われた。1つは、4K2Kの高精細動画をスマートフォンでリアルタイムにエンコードするデモ。フルHDの4倍の画素数を持つ4K2Kに対応するディスプレイやテレビが登場しているが、再生する高精細動画のコンテンツが少ないのが現状。Snapdragon 800を搭載したスマートフォンで4K2K動画を撮影できれば、高精細動画のコンテンツをぐっと増やすことができる。デモではステージでダンスなどをする様子をスマートフォンで撮影し、リアルタイムに4K2K対応ディスプレイに表示することで、Snapdragon 800の高い処理性能を実感させていた。

▼右手にあるSnapdragon 800搭載スマートフォンで4K2K動画を撮影し、リアルタイムに左手のディスプレイに表示20130226_qualcomm001.jpg

また、「Snapdragon Voice Activation」と呼ぶ音声操作の技術のデモも行われている。これはSnapdragon 800プロセッサー搭載端末で利用できるようになる技術。低消費電力で常時音声入力を受け付け、あらかじめ決めた"合言葉"の後に続けて端末への操作を言葉で指示すると音声操作が可能になる。音声操作を開始するためにすら端末に触れることなく、スマートフォンを声で操れる。デモでは「Hey Snapdragon」を合言葉にして、音声で「今年の母の日は何日?」などの問いかけをし、スマートフォンが返答する様子を示していた。さらに、規格が承認されたばかりの新動画圧縮方式「H.265(HEVC)」のデコード機能をSnapdragon 800が備えるデモも行いし、搭載したスマートフォンでは少ないデータ量で高画質のビデオコンテンツのストリーミングなどが可能になることを示した。

▼「Hey Snapdragon」に続いて「2013年の母の日はいつ?」と声で問いかけて、回答が表示された20130226_qualcomm002.jpg

次世代のネットワーク技術のデモも複数行われていた。1つはLTE-Advanced(参考情報)の主要技術の1つであるキャリアアグリゲーション(参考情報)をLTEで実現するデモ。10MHz帯域で下り最大75MbpsのLTEを、異なる周波数帯を利用して10MHz帯+10MHz帯の合計20MHzの帯域を確保することで、最大150Mbpsにまで高速化できる。デモでは145Mbps前後のスループットが得られることを示していた。

▼キャリアアグリゲーションを実測して145.39Mbpsといったスループットが画面に表示されている20130226_qualcomm003.jpg

このほかにも「HetNet」(参考情報)の制御が一段と高度化していることを示すデモもあった。HetNetではマクロセルとピコセルを協調制御してトータルのスループットを向上させる。その際に、ピコセルを利用者の状況に応じて自動的にオン/オフする技術や、LTEをバックホール(参考情報)に使ったリレー基地局の技術が新しく加わったことをデモで示していた。

▼HetNetで、端末がピコセル圏内に移動したことを検知してピコセルが起動する様子をデモで示した20130226_qualcomm004.jpg

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。